映画『ジェーン・エア(2011)』レビュー

瑞々しく、情熱的な再生

過去に原作を読んだのかも定かではなく、フランコ・ゼフィレッリ版を頭の片隅に置いて見た幾度目かの映画化となる最新版「ジェーン・エア」は“えっ、こんな話だったっけ!?”と驚いてしまうほど瑞々しく、情熱的な古典の再生であり、新鮮な感動をもたらしてくれた。

冒頭、ミア・ワシコウスカ扮するジェーンが打ちひしがれ、荒野をさまよっている所から映画は始まる。美しいロケーションとダリオ・マリアネッリの激情を誘うスコア、そしてワシコウスカの禁欲的な美しさからほとばしり出る哀しみ…この巻頭で映画のテンションはすでに最高潮に達してしまう。

後にこのシーンは本作のハイライト、ジェーンがロチェスターに妻がある事を知り、彼の元を去った後だとわかる。本作最大の勝因はモイラ・バフィーニによる大胆な脚色だ。ジェーンの幼少期をほぼ全てカットし、ロチェスターとの恋愛にフォーカスした事でロマンス映画として成立してみせた。

それは前述のワシコウスカ同様、ロチェスター役のマイケル・ファスベンダーのキャスティングでも最大限の効果を上げている。野性味あふれ、フェロモンむんむんのファスベンダーによる“オラオラ”なロチェスターを見ていると「ジェーン・エア」とはこんなにもセクシャルな作品だったのかとこちらも上気してしまう程だ。

文芸作品特有の大上段な演出を避け、ロケーションにこだわったキャリー・ジョージ・フクナガ監督のインディーズ感覚も古典に新鮮なリアリズムをもたらし、不朽の名作に恥じる事なく再生に成功している。。

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ジェーン・エア(2011)のポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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