映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』レビュー

何かをごまかそうとすると、結局酷い状況に陥るものだよね。

キアロスタミ監督が日本を舞台に描く、デートクラブでバイトをする女子大生とお客の老人、そして彼女の恋人の三人の20時間ほどの時間を切り取った映画で、奥野匡、高梨臨、加瀬亮の緊迫感あるガチンコ芝居を堪能。
人と人との関係で、何かをごまかそうとすると、どんどんのっぴきならない状況になっていく、というのが上手く描き出されていて、さすがだと思った。
しかし、ロケ地が映画の話の内容と一致してなかったので、歌舞伎町をタクシーで通っている時に「駅前のロータリーに寄ってください」と行った先が静岡駅前だったり、赤レンガ倉庫の横を走りながら、「あと10分くらいだから」と言って行った先が六本木の青山ブックセンターだったり、土地勘がなまじあると混乱すること請け合い。背景がどこ、と気にせず見れば良い話なのだけど、自分はどうしても気になってしまったのだった(笑)。
あと、設定が少し古いのが気になった。現在の公衆電話ボックスにはピンクチラシなんてまず貼られてないし、東京の駅の改札の外にベンチなどまずない。15年くらい前の話なのかな?と思って観てたけど、2011年だと映画の中で明言しているので、そういうつもりではなかったらしい。日本在住ではない外国人監督だから仕方ないのかも。
加瀬亮が、実直だけど嫉妬深く、一本気な恋人役を相当リアルに演じているのが見物だった。特に最初、奥野匡を恋人の祖父だと勘違いして緊張しまくりながら接触するシーンは絶品。そんな彼を飄々と受け流す奥野匡との掛合いも絶妙。高梨臨の演じた人物が私にはあまりピンと来なかったものの、まあ、こんな女の子、時々居るよね、的な感じではあった。

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ライク・サムワン・イン・ラブのポスター
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大串 京子のプロフィール画像

大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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