映画『プロメテウス』レビュー

“小さなものが大事に至る”

まずは刮目せよ、と言いたくなる巻頭のIMAX絵巻が素晴らしい。大古の地球、まだ生命が誕生していない原子の惑星に巨大な円盤から宇宙人が降り立つ。その白亜の肉体は人間そのものであり、神の如く美しく均整がとれている。彼が何かしらの不思議な薬品を口にすると即座に身体が砕け、それはDNAレベルにまで分解されて地球の海へとばらまかれていく。そう、人類の祖先はこの宇宙人だったのだ。

時は移ろい、近未来。遥か彼方の惑星を目指して宇宙船プロメテウス号が航行している。リドリー・スコットがIMAXというキャンパス目一杯にに筆を振う。暗黒の彼方、惑星の輪のチリとなってプロメテウス号のテールノズルがきらめく(これはIMAXのスクリーンでなければ目視できない大きさだ)。ああ、これが33年前、スクリーンで体感できた「エイリアン」の、リドリー・スコットの宇宙だったのか。

アンドロイドのデヴィッド(ファスベンダーがまたしても好投)が言う“小さなものが大事に至る”という言葉の通り、「エイリアン」サーガに至る序章となった本作のストーリーは「エイリアン」の変奏に過ぎず、小粒感はある。「ブレードランナー」と共に未だSF映画のスタンダードであり続ける御大を担ぎ出す意味はあったのだろうか?

否、ここに描かれる未来世界は33年前に彼が思い描いたものと何ら変わっていない。存在するであろう未来都市の姿はなく、閉ざされたプロメテウス号は2年もかかる冷たい宇宙の彼方を漂う。この閉塞した未来は33年経って誰もの実感となった。時代がリドリーに追いついたのではないか。

閉ざされた美しい未来のIMAXランドスケープの中で、リドリーは大いに震え上がらせてくれる。「エイリアン」という大きくなったキャンパスの上に新たに描かれたヴィジュアルを大いに楽しもうではないか。

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プロメテウスのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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