映画『THE 有頂天ホテル』レビュー

有頂天にさせて

すっかり映画の世界においてもヒットメーカーとして定着した三谷監督だが、やりたい事と言いたい事を詰め込んだデビュー作「ラヂオの時間」と比べると、本作はなんと窮屈で“やらされている感”の強い事か…。

大晦日の夜、一流ホテルに集った人々を描くグランドホテル形式の群像劇である。オリジンへの敬意が垣間見えるが、それよりも企画段階で豪華キャストを抱えてしまったのか、各人の見せ場作りに腐心する楽屋オチの感が強い。メインプロットに対して機能しない俳優はかくも舞台的な手法(上手から下手へ)で出し入れされ、三谷の書き手のとしての苦心がチラホラ。そうなるとここぞと狙った笑いも低空飛行する。

そんな中、映画をブチ壊して場をさらうのは西田敏行だ。躁鬱気味の天才演歌歌手役で見せる底知れぬ怪物性が観客の生理の中から真の笑いをもぎ取る。小手先のものではなく、有頂天にさせてくれるような、こんな笑いで笑わせてほしかった。

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THE 有頂天ホテルのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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