映画『ヒューゴの不思議な発明』レビュー

最新技術ありきの想像力に疑問符

映画のマジックがなんたるかを改めて思い起こさせてくれる、スコセッシから映画好きへの素敵なプレゼント。大人が童心に戻って楽しむファンタジー映画で、映画好きは感涙必至。ただし、個人的には手放しで喜べない部分もある。

かつてメリエスがありったけのイマジネーションでスクリーンに非現実を映し出し、観客を熱狂させたように、スコセッシは3Dという表現方法で映画ファンを未知の世界へ誘う。これは映画というメディアの新たな可能性を探ったメリエスと同じ探究心による純粋なアプローチなのだが、3Dという最新技術に頼らざるをえなかったところに一抹の淋しさを覚えるのも事実。

CGが映像表現の幅を広げたのと同時に観客の想像力の余白を奪ってしまったように、映像技術の進歩は必ずしも映画の進歩ではない。今回、メリエス映画の追体験をさせるのに、最新技術を導入するのではなく、もっと観客のイマジネーションを信頼し、喚起するようなアプローチもあったのではないか。

メリエスの映画に想像力の飛翔を見て嬉しくなる一方で、「ヒューゴ~」の類まれな創造性が最新技術の土台の上に成り立っていることが淋しかった。映画はどこへ行くのか。

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ヒューゴの不思議な発明のポスター
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芳賀 健Freak

週刊朝日で連載。総合映画情報サイト オスカーノユクエ管理人。Twitterでせっせと毎日最新映画ニュースを配信中。

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