映画『ヴァンパイア』レビュー

不思議な感触の映画。

岩井俊二監督の8年ぶりの長編映画、全篇オール英語、蒼井優以外全員欧米人キャスト、でもテーマはとても日本人的なので、なぜこの映画を英語で、外国人キャストで、カナダで撮影する必要があったのか、良く分らないまま観終わったのであった。これは、日本で日本人で撮った方がしっくり来る話のような気がする。
というのも、「自殺」はキリスト教社会では「罪」と考えられていて、自殺した魂は、永遠に救われないと繰り返し子供の頃から親からも地域からも教師からも教えられて育つ土壌がある北米人たちが、ああも簡単に軽く自殺を考えるなんて、まず現実味がない。日本人のように「何となく生きているのが辛いから死にたい」という気分や空気自体があまりなく、自ら生命を断つ事=地獄に落ちる(永遠に苦しむ)ことで、それに対しての一般的な北米人の恐怖と覚悟の程は相当なもののように感じるので、彼らが自殺を考えるときは、本当に追いつめられている(死ぬ以外に逃げ道がない)時しかないと思うのだけど。
まあ岩井監督作品に現実味、という話をしても意味のないことではあるのだけど、どうしてもその根本的な違和感が拭えないまま最後まで引き摺ってしまったのであった。
俳優は何気に凄い演技達者な方々ばかりなので、演技は見応えあり。
映像も美しかった。

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ヴァンパイアのポスター
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大串 京子のプロフィール画像

大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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