映画『夜の浜辺でひとり』レビュー

ポール・T・アンダーソンとのちがい

今、スクリーンで起こっている事を味わう作品。
引いた絵で、長回しするだけの意味のない作品が多い中、
ホン・サンス作品は背景に走る車、建物、小道具など物語を展開していく上で必要な物を捉えて巻き込んでいく。
それらの背景を背負いながらちょっとした背中の丸め方、首の向き、ひざの角度など、それぞれがモノを言う芝居が必要になるし、セリフが無い横の人の受けリアクション芝居も大事、そのちょっとしたディレクションのOKNGを出す演出もすばらしい。シナリオでは多くは語れないので難易度は高いが、観客のマインドと登場人物の一挙手一投足の化学変化こそが世界観を創生する。
そんな全てをよそ見しながらも掌握して回してる感が凄いホン・サンス。
アルトマンの後継者とP.T.A.氏が言われるが、A氏の長回しはサイズが寄りすぎていて、不必要な単なる長回しが多い。A氏が評価されるべき所はそこではない。

ホン・サンスに戻って。
全シーン、そんな総動員されたスクリーンに感情移入どころか、自分自身が主人公と一体化してしまう。
キム・ミニはじめ俳優部の引き出しを全部開けてしまうホン・サンスがいい。

8
夜の浜辺でひとりのポスター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
小川 勝広のプロフィール画像

小川 勝広

『ブタがいた教室』企画・プロデューサー
『乱暴と待機』プロデューサー
京都造形芸術大学・非常勤講師
東北芸術工科大学・特別講師

映画『夜の浜辺でひとり』に対する小川 勝広さんのレビューにコメントする

こんな作品もレビューされてます

ブラック・クランズマンのポスター

Crusaderの訳は聖戦?

 アダム・ドライバーがワシントンに、おまえはこの仕事を聖戦...

運び屋のポスター

拝啓、ハリー・キャラハン様

 拝啓、ハリー・キャラハン様 あなたが44マグナムを35カメ...

ハッピーエンドのポスター

馬鹿が戦車でやってくる

 ガラガラガラってうがいをするは、 gargariserっていうんだ...