映画『search サーチ』レビュー

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“102分間、パソコンの画面だけで映画が進行する”前評判を聞いた時、果たしてそんな事が成立するのかと訝しんだが、なるほど本編を見て納得だ。我々は仕事でパソコン、通勤の合間にスマートホンといった具合に四六時中モニターを見る生活なのだから、親和性がないワケがない。むしろこの映画の巧さは人間がモニターのどこに焦点を定めているか、どんな手際で操作しているかという“生理感”を編集に落とし込んでいる事だろう。1クリック毎にサスペンスが深まるスピード感はパソコン、スマホ時代ならではのスリルだ。ただし、ジョン・チョウ演じる主人公のPCスキルは中級以上なので、日頃アカウントのパスワードすら管理できないような人は一体何が起こっているのかさっぱりかも知れない。

ただギミックだけでこれまでの亜種映画から頭1つ抜け出る事はできなかっただろう。娘の失踪を期に彼女のパソコンを開けた父親が目にするのは子を持つ親なら誰もが震え上がる真実だ。ネット上には自分の知らない、普段と違う娘の姿があった。いや、そもそも娘のいったい何を知っているのだろう?友達の名前も知らなければ、ピアノを半年前に辞めたことも知らない。悩みなんて知る由もない。モニター越しにどんどん憔悴するジョン・チョウの姿を世の父親たちは決して他人事とは思えないハズだ。本作の真の見どころは父と娘のドラマである。

監督は弱冠27歳のアニーシュ・チャガンティ。アイデアだけに頼らず、ドンデン返しに次ぐドンデン返しといい、プロット運びも巧みである。次作が楽しみな才能だ。

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search サーチのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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