映画『オーシャンズ8』レビュー

少女よ、アウトローを目指せ

フタを開けてみれば男性版を上回る興行収入を記録、そして抜群にこっちの方が面白い。ムリもない。既に男たちによってやり尽くされた集団ケイパーものというジャンルをわざわざ1960年の凡作『オーシャンと十一人の仲間たち」をリメイクして作り上げた男性版3作はまるで大スターの慰安旅行を見せられているような、怠惰で気の抜けた映画だった。かつてブランシェットはオスカー受賞時にこうスピーチした「女性達にも物語はあります」。

この女性版のフレッシュさはどうだ。お色気にも若さにも頼らず、ゲイリー・ロス監督はさすがの手際でシャープで痛快な作品に仕上げている(ソダーバーグとは互いの現場で第2班監督を引き受け合う盟友だという。気質は異なっても映画人としての基礎体力の高さが二人を通じ合わせたのかも知れない)。
ブラット・ピットなんか必要ない。『キャロル』の5割増し(当社比)でハンサムなケイト・ブランシェットには男も女も抱かれたくなるハズだ。何より8人という数字は全員に均等に見せ場があっていいじゃないか。男性版でクルーニーとブラピ以外に誰がいたか憶えている人、いる?

そんな本作のスピリットは中盤、サンドラ・ブロックのセリフから露わとなる。
「自分たちのためじゃない。世界のどこかでアウトローを夢見る8歳の女の子のためにこのヤマを踏もう」
そう、アクションもハードボイルドもケイパーも男だけのモノじゃない。映画館を出たら肩で風を切りたくなるような映画は誰だって見たいじゃないか。腑抜けたジャンル映画に新風を吹き込んだ意義ある1本だ。断固支持したい。

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オーシャンズ8のポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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