映画『スターリンの葬送狂騒曲』レビュー

悪魔のイス取りゲーム

スターリンが死んだ!
彼の死をきっかけに側近たちが繰り広げる最高権力争奪戦を描いたブラックコメディ。ポリティカルコメディドラマ『VEEP』で知られるアーマンド・イアヌッチ監督は英語圏の映画がやりがちな“なんちゃってロシア訛り英語”を封印。後に権力を掌握するニキータ・フルシチョフを“ニッキー”呼ばわりし、Fワードも連発する始末で、このフランクな演出に乗っかったスティーヴ・ブシェミ、ジェフリー・タンバーら熟練俳優陣がノリノリで好演だ。まるで翻訳戯曲の舞台を見るような楽しさである。

だが、そういつまでも笑ってはいられない。この悪魔の椅子取りゲームはやがて血で血を洗う粛清へと発展していく。権力者に媚びへつらい、形勢が変わるや途端に掌を返す輩は今や東西問わずどこにでもいる。本作はまさに“絶対に笑ってはいけない椅子取りゲーム”、民主主義の成熟度を測るリトマス紙なのだ。ゲスな登場人物達のゲスすぎる行動の中、毅然と振る舞うオルガ・キュリレンコの凛とした美しさが印象に残った。

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スターリンの葬送狂騒曲のポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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