映画『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』レビュー

ヤング・ハン・ソロの冒険

そもそも、一体誰がこの映画を望んでいたのだろう?
ハリソン・フォードによって映画史上屈指の人気アイコンとなったハン・ソロがどこで生まれ、どんな青春時代を送り、どうやってケッセルランを12パーセクで抜け、ミレニアム・ファルコン号を手に入れたのか語る必要があったのだろうか。けたたましく連打されるアクションシーンは語る物語も術も持たない自信のなさの表れだろう。かつて、スター・ウォーズファンは第1作『新たなる希望』を観てセリフだけで語られるクローン大戦に思いを馳せ、オビワン・ケノービとダースベーダーの火山での決闘を口述伝承し、『シスの復讐』が公開されるまでそれは“伝説”だった。今のスターウォーズは語れば語るほど面白味が削がれ、その銀河を収縮させてしまっている。終幕、ある人物の登場に至ってはもはやサプライズよりも食傷感しか覚えなかった。(“ソロ”という名前の由来も明かされるが、何の惜しみもない語り口によってスケールダウンしている)。

もちろん、この結果においてロン・ハワード監督は責められるべきではない。ローレンス・カスダンによって施された脚本の西部劇テイストを汲み取り、冒頭には自身も出演したジョージ・ルーカス監督作『アメリカン・グラフィティ』の懐かしい香りも漂わせる。何より俳優陣の活気は俳優出身監督のロン・ハワードならではの楽しさだ。
主演オールデン・エアエンライクは分が悪い。果敢にハリソン・フォードをフォローするが、間に困るとニヤケ顔を連発し、演技の手数が少ない。当初、このヤング・ハン・ソロでシリーズ化が検討されていたが、ルーカスフィルムは今回の失敗を受けてスピンオフ企画の全面見直しを始めたという。エアエンライクのスターの道は断たれたのか。ルーカスフィルムとディズニーがフォースにバランスを取り戻す事を期待する。

5
ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリーのポスター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

映画『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』に対する長内那由多さんのレビューにコメントする

こんな作品もレビューされてます

クレイジー・リッチ!のポスター

アジア版『ブラックパンサー』

 大旋風である。ワーナーブラザーズの製作ながらオールアジア...

クワイエット・プレイスのポスター

声をあげよ

 『クワイエット・プレイス』は全編に渡って集中力の漲った素...

インクレディブル・ファミリーのポスター

オンリーワンで、スーパーワン

 映画は2004年の第1作目直後から始まるのに少しも古びていな...