映画『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』レビュー

I have a bad feeling about this.

 銀河を股にかけた壮大なスペースオペラを展開する正史とは違い、愉快なハン・ソロが軽口を叩きながらリスキーな仕事をやり遂げる。予告編からはそんなカジュアルなスピンオフを期待した。

 完成した作品からも、その方向に持って行きたかったんだろうなという点はひしひしと感じられる。辺境の惑星で汚れ仕事を請け負うソロが、惚れた女と脱出を図る…。僅かな希望を胸に激しいキスを交わし、男が助手席に女を乗せて駆け抜ける場面なんて、一昔前の洋画を観ているようで胸が躍る。

 いっそのこと、このまま大脱走&強奪ムービーとして振り切れたら、どれだけユニークな作品になっていたことか。アウトローであるはずのハン・ソロが身を投じる戦いは、次第にディズニー版SWのテーマである名も無き者の活躍、圧政への抵抗や束縛からの解放など、尤もらしい展開に着地する。メッセージとしては至極真っ当だが、そこから浮かび上がるのは「一見破天荒だけど、実は根は良い奴」という平凡なハン・ソロ像だ。(映画版ドラえもんのジャイアンじゃないんだから…。)

 新生SWのテーマを統一してブランドを強化したい気持ちは分かるが、ごもっともな教訓を垂れるお行儀の良い作風は、銀河のはみ出し者としてのソロの輪郭を著しくぼかしてしまう。高品質のVFXと各方面に配慮したポリコレ忖度満載の設定、そつのない物語…さすがロン・ハワード監督は無難にまとめたが、プロダクト臭が強すぎてとても好きになれないのが本音だ。ファンをダークサイドに突き落とすディズニーが実は真の帝国だった…なんてオチにならないことを祈るばかり。

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ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリーのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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