映画『モリーズ・ゲーム』レビュー

仰天逆転人生

こちらもびっくりするような話だ。オリンピック候補のモーグル選手から一転、ハリウッドセレブが通い詰める高額闇賭博ポーカーの主催者となったモリー・ブルームの手記を『ソーシャルネットワーク』『スティーブ・ジョブズ』の脚本家アーロン・ソーキンが映画化した。

自ら脚色も手掛けたソーキンは冒頭からヒロインの頭脳明晰さを怒涛のセリフ回し、編集スピードで表現する。ケガにより競技人生を諦めたが、ロースクールに入れる程の頭脳を持った人だ。闇賭博の熟知も実に理路整然。そして厳格な教育を受けてきただけに義理堅い。彼女はFBIに逮捕されても顧客リストを公開する事はなかった。

事実は小説よりも奇なり、といった所だが意外と品行方正というか、彼女に破綻した歪さがなく、その実話ゆえの生真面目さが本作の欠点でもある。主演ジェシカ・チャステインは色気タップリの装いでも知性があふれ出るモリーの生真面目さにピッタリだ。前作『女神の見えざる手』『アイ、トーニャ』『ボストンストロング』同様、親が不在だ。ケヴィン・コスナー扮する厳格な父はいくら努力しても認めてはくれなかった。なるべきロールモデルを見失ったモリーを救うのは弁護士チャーリー(知性的なイドリス・エルバ)であり、このもう1人の父親の存在によってモリーは再起していく。決してへこたれない、バイタリティあふれる強さ。モリーはもがき、倒れても再び立ち上がり、次のステージへと向かっていくのだ。

ソーキンは役者の扱い方もしっかり心得ており、マイケル・セラ(モデルはディカプリオか!?)、クリス・オダウド、そしてこのところ好投の続くビル・キャンプ(『ナイト・オブ・キリング』)らのシーンスティラーぶりにも触れておきたい。

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モリーズ・ゲームのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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