映画『バトルシップ』レビュー

これは監督のアンチ「トランスフォーマー」宣言だ!

「トランスフォーマー」シリーズに1ミリも魅力を感じないどころか嫌悪すら感じている自分が、「トランスフォーマー」海上版を謳っている本作を観る道理はないのだが、Freak!上で意外にも評判がいいので重い腰を上げて鑑賞を決意。

「トランスフォーマー」の何が嫌いかって、過度の技術信仰による猫も杓子もCGの目眩まし的で手作りの質感皆無な映像が大嫌いなのだ。「バトルシップ」も予告編を観る限り、“ああなるほど、ハスブロが二匹目のドジョウを狙ったフランチャイズの一環ね”という感想で、まるで興味の対象にならなかった。

ところがどうだ。ピーター・バーグ監督にはまんまと騙された。たしかに「トランスフォーマー」的な目眩まし映像は満載で、その部分はあくびをしながらやり過ごしていたら、映画の終盤に驚くべきどんでん返しが待っていた!

映画の中盤は駆逐艦(デストロイヤー)VS宇宙船の派手な空中戦(比喩です)だったのが、終盤に築70年のロートル戦艦(バトルシップ)がたすきを渡されて登場という見せ場がやってくる。

すると監督の個性は突如光り輝きだし、あたかも“さっきまではクライアント(パラマウントとハスブロ)を満足させるために猫かぶってたんですよ”と言わんばかりの肉弾戦(比喩です)が炸裂する。戦艦ミズーリが海上を疾走し、甲板を水飛沫が打ち付ける映像のなんと優雅でド迫力なこと。このワンシーンを見せるために、わざと退屈なCG映像を重ねに重ねたのに違いない!

「トランスフォーマー」とは似て非なる本作、言うまでもなく荒唐無稽なポップコーンムービーなのだが、作り手のスピリットは伝わってきた。この映画の存在意義は戦艦ミズーリが活躍する正味10分間にあり!これはピーター・バーグ監督によるアンチ「トランスフォーマ−」宣言だ!

注)5点でも最大評価です。

5
バトルシップのポスター
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芳賀 健Freak

週刊朝日で連載。総合映画情報サイト オスカーノユクエ管理人。Twitterでせっせと毎日最新映画ニュースを配信中。

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