映画『ダークタワー』レビュー

ダークタワー、それはスクリーンにそびえ立つ、高く暗い墓標

 「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」の大ヒットも記憶に新しいスティーヴン・キングが、自らライフワークと認める長編小説をついに映画化。しかし、残念ながらこれまでの著名なキング原作の作品の中でもワースト級の出来栄えである。

 複数の時空が存在する世界。その中心にある「ダークタワー」を破壊して世界を破滅へと導こうとする男と、彼に猛烈な復讐心を抱く戦士の戦いが、不思議な世界に迷い込んだ超能力を持つ少年の視点から描かれる。「黒衣の男」、「ガンスリンガー」、「中間世界」、「輝き」など矢継ぎ早に用語が飛び出るが、何とそれらに関する説明はほとんどなく、観客が世界観や登場人物のバックグラウンド、そして物語の概要すら把握するのは不可能に近い。

 一応ダークタワーが壊されると宇宙の外側に塞き止めていた“脅威”がこの世界に流れ込んできてしまうため、なんとしてでも破壊は阻止しなければいけないらしい。だが、世界観やキャラクターの行動原理が説明されないとあっては、世界の危機がこれっぽっちもピンと来ないのは辛いところ。壮大なスケールのはずなのに、終わってみればひたすら弾幕を張って敵を殲滅させていたということしか印象に残らない。確かに超絶リロードを駆使する銃撃戦はさすがハリウッド映画と言うべき迫力だが、この原作を借りてきてそこが唯一の見所というのも違うだろう。

 ダークタワーも高くそびえるだけで、それが何なのか結局分からず終い。最後まで沈黙を貫き通すその塔は、観客の失意を宿した墓標のようでもある。

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ダークタワーのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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