映画『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』レビュー

やっぱりライトセーバーの戦いがないとね・・・。

 非常に良く出来た映画である。数多い登場人物にきっちりと見せ場を与え、「希望」や「団結」を象徴した結末へと全ての伏線が完璧に回収されていく。これだけの情報量を処理し、しかも必然性をもって描いた脚本はお見事。おそらくこのシリーズでは初となる精神世界の描写だったり、ダーク路線に振り切った雰囲気やスローを印象的に活用した映像など、挑戦的な演出も素晴らしい。いくらでも派手に出来そうな映画なのに、表面的なアクションではなく人間ドラマを主軸に進む物語は、2時間30分越えという長尺ですら窮屈に感じてしまうほどの密度だ。

 とは言え結末に向けて巧みに配置されたキャラクターやエピソード、完璧すぎる伏線回収は、時々その裏に潜む作り手の計算を感じさせてしまう。オーケストラでたとえて言えば、そもそも楽譜が観客に見えてしまっている状態。演奏は見事だが強弱記号や次の音符が分かっているので、盛り上がりも想定の範囲内。「ここでこう来て、ほら、面白いでしょ」という作り手の声が今にも聞こえてきそうだ。極めて贅沢な感想なのは承知だけど・・・。

 とにかく堅実な構成は“遊び”が少なく、これだけの大作でありながらエンタメ感は弱い。思えば今回、ライトセーバー同士の剣劇は実質ゼロだったのが気にかかる。純粋な映画ファンとしてクオリティの向上に全振りした演出を喜びながらも、どこか手放しで絶賛できないのは、童心を取り戻すことが出来なかったからだろうか。と、僕の心の中の最後のジェダイが申しております。

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スター・ウォーズ 最後のジェダイのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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