映画『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』レビュー

あの夕陽の向こうに世界がある

レイは覚醒したフォースによってカイロ・レンと呼応していく。孤独な魂が呼び合うかのような2人にはスター・ウォーズ史上類を見ないセクシャルな匂いが漂う。これは互いを運命の相手と錯覚し、破局する男女を描いた愛憎のラブストーリーではないのか。スリリングな化学反応を起こすデイジー・リドリーとアダム・ドライバーは共に運動神経も良く、アクションが良く映える。ライトセーバーを使った乱戦シーンはシリーズ屈指の立ち回りだ。

そしてついに登場したルーク・スカイウォーカーがその宿命の環を閉じる事となる。銀河の命運を救った英雄は決して幸福と呼べる人生を送ってはこなかった。ジェダイを再興すべく12人の弟子とベン・ソロを連れたルークはある事件によって全てを失ってしまう。この弟子の人数からも察せられるように、回想シーンには宗教的モチーフが多く散りばめられ、ジェダイとシスという善悪二元論が今一度、脱構築される。一瞬とは言え、ベンへの恐怖に負けたルークもまたダークサイドに落ちたのだ。彼の挫折と厭世に、ヒーローにもジェダイにもなれなかった僕たちは自身の姿を見出す。

映画はルークの“落とし前”によってスカイウォーカーの血統や、さらには旧三部作主義のファン、そしてジョージ・ルーカスから解放されていく。レイがスカイウォーカーの血統である必要はまるでなく、誰でもない子のレイから世界のどこかで宇宙を見上げる少年へとバトンは受け継がれていく。そう、『スター・ウォーズ』とは何者でもない青年が世界へ旅立つ、みんなの物語だったではないか。『フォースの覚醒』直後から始まることもあってか、前後編2部作と呼べる『最後のジェダイ』の完成をもってようやく新シリーズは始まった感がある。

子供たちよ、映画館へ行こう。スクリーンの向こうに冒険が待っているぞ。

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スター・ウォーズ 最後のジェダイのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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