映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』レビュー

雷神・ライジング

 以前どこかのサイトで「映画とは破壊と再構築だ」的な理論を目にしたことがあるが、本作はまさしくそのメソッドに倣っている。

 まずは徹底的な「破壊」だ。これまでとは一転してコメディタッチの作風へとシフトチェンジし、印象をガラリと変えた。予告編でもお披露目された通りソーの相方でもあるハンマーをいとも簡単に破壊し、登場人物すらも容赦なく退場させた。作り手がハサミを入れたのは決してソーの頭髪だけではない。シリーズが築き上げてきた前提を根底から覆し、「おいおい、こっからどう展開するんだよ」と観客に興味と疑問を抱かせる。

 そして「再構築」。全てを失ったソーは辺境の惑星で仲間を再結成し、宇宙の支配を目論む復讐の女神ヘラに戦いを挑んでいく。今どき恐ろしいほど単純なプロットだが、その中でしっかりとソーの成長が描かれるのはお見事。ハンマーを失い絶望する彼に投げかけられる、「お前はハンマーの神か?違うだろ。」という言葉。雷神としてのアイデンティティに直面し、自らが秘めた真の力に目覚めていく胸熱な展開に心が躍る。

 単体のソー主演作としては三部作の完結編に位置する作品だが、同時に真のヒーロー、そして王の誕生を描いたビギニング的な意味も含んでいる。「アベンジャーズ」第3弾への目配せも欠かせない中でシリーズの破壊と再構築に成功した本作は、氾濫するヒーロー映画の原点に立ち返った正真正銘のエンタメである。

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マイティ・ソー バトルロイヤルのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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