映画『ブレードランナー 2049』レビュー

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 先日亡くなったブライアン・オールディスの原作に惚れ込んだスタンリー・キューブリックの遺志を引き継ぎ、スティーヴン・スピルバーグが監督した『A.I.』(01)を観た当時、若かりし日のハーレイ・ジョエル・オスメントが愛らしく演じた人間化したロボットよりも、ロボット以上に感情がなく冷淡な人間に、戦慄を覚えたものだった。

 歳月は流れ、『不都合な真実2:放置された地球』(17)でも見せつけられる地球温暖化も著しく進み、人類のタイムリミットも一層の現実味を帯びている今、SF映画の金字塔を打ち立てた『ブレードランナー』(82)の30年後を描く本作は、絵空事とは思えぬ切実なリアルさで、胸に迫ってくる。

 2049年のLAでは、人間と人造人間=レプリカントとの境目はますます曖昧になっている。前作から流れた月日を堂々と体現するハリソン・フォードが、人間代表として気を吐くくらいで、アイデンティティ探求の旅へと向かう悩めるブレードランナーのK(ライアン・ゴズリング、なで肩のコート姿の哀愁がたまらん!)を筆頭に、作り手たちが心を込めて魅力的に描き出すのは、レプリカント側である。大切な存在のために、命さえ投げ出す献身ぶりは、人間の理想の在り方のようにも見える。

 最強の女レプリカントを怪演するシルヴィア・フークス(オランダ)、目の前にいるのに触れられないKの恋人を儚く演じたアナ・デ・アルマス(キューバ)、カリスマ性を存分に発揮するヒアム・アッバス(イスラエル)ら、実に多彩な国籍の俳優陣も、緊迫する国際情勢の和平を謎の生命体に託した『メッセージ』(16)のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしい美学が感じられる。
 
 それぞれの正義を貫くべく、筋を通し闘う様々なキャラクターの凛々しき姿は、”人間VSレプリカント”なる二項対立では片づけられない混沌とした現代社会に、生きる指針のようなものを照らし出す。

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ブレードランナー 2049のポスター
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服部香穂里のプロフィール画像

服部香穂里

映画界の末端で、浮草のように漂うております……。

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