映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』レビュー

そもそも所要時間15分のアトラクション

まぁまぁ、そんなに目くじらを立てることもないじゃないか。
最近の全米批評家はジョニー・デップがおふざけをするだけで袋叩きにするし、観客もとっくに嫌気がさしているが、それでも夏休み映画としては十分に楽しませてくれる。

冒頭、金庫を盗むはずが銀行ごと盗むことになってしまうスラップスティックなギャグに、隣の座席の女の子(小学2~3年生くらい)は口を押えて笑い転げていた。実録海洋冒険映画『コン・ティキ』でアカデミー賞にノミネートされたノルウェイ人監督コンビ、ローニングとサンドベリは期待通りの手際の良さだ。ジャック・スパロウは主役のようでいて実はビリング3番目が一番収まりのいい三枚目キャラだという事をしっかり把握している。前作『生命の泉』はこの部分を全く理解しておらず、ほとんど収拾不能の状態だった。今回はフレッシュな若手を表に立たせてジョニデもウザくない活躍っぷりだ。

しかしながら、過去作を否定するようなプロットの行き詰まり、企画の開発不足には困ったものだ。
第3作『ワールド・エンド』で海の悪霊デイヴィ・ジョーンズを倒し、不死の命を手に入れたウィル・ターナーは代わって死者をあの世へと運ぶ海神となり、陸に残した女と10年に1度だけ巡り合う…という“海の伝説”として3部作は幕を閉じたハズだった

ところが、本作でそれは“解かれるべき呪い”として登場する。オーランド・ブルーム(仕事がないんだろうなぁ)の端正な顔にはフジツボが生えている。おいおい、あの物語は一体なんだったんだよ!
おまけにエンドロール後まで辛抱強く座り続けた観客には唖然とするようなエピローグが待っている。この2時間は何だったんだ!続編を作るために過去作から本作まで否定するようなエンディングなんて意味がないじゃないか。まぁ、そもそもが正味15分くらいのアトラクションが元ネタだしなぁ…って、しっかり目くじら立ててるか!!

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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊のポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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