映画『トランスフォーマー 最後の騎士王』レビュー

インフレを極めた本シリーズも、とうとうバブル崩壊

 大迫力のトランスフォーム・アクションが大受けした1作目を皮切りに、2作目ではピラミッドの秘密を遡り、3作目では宇宙に進出し、4作目では紀元前の恐竜時代にまで話を広げた本シリーズ。「続編はスケールアップする」というのはハリウッドのお決まりではあるけども、ここまで分かりやすくインフレを極めるシリーズも珍しい。

 その騒がしさに批評家はとうの昔にさじを投げ、徐々にではあるが一般観客も呆れ始める始末。個人的にも決して好きなシリーズではないものの、「派手なものが観たい」というハリウッド映画に対する需要を満たす貴重なサマームービーとして市場における価値を評価しようと努めてきたが、さすがに今回ばかりはお手上げだ。

 現段階の映像技術で実現できる最高峰のアクションシーンは凄まじく、大画面での鑑賞は本来ならそれだけでも入場料金の元が取れる至高の体験のはず。にもかかわらず、有難みも無ければこれっぽっちの高揚感も無いとはどういうことだ。

 「アクション映画はアクションがメインだから、ストーリーは多少ダメでも問題ない」という声もある。しかし、いくら見た目が凄いとはいえ、まともな筋書きとして一切機能していない喧騒を二時間半も眺めるのは映画好きとして苦痛でしかない。盛ることばかりで引き算が存在しない画面、セリフ、設定、情報量、そして音楽。超大作としてのサービス精神に必死なのは分かるが、もはや本来の料理すら見えなくなったトッピング全部乗せの構成は、味付けなんてあったもんじゃない。トランスフォーマーたちは滅び去った自分たちの故郷の再建に躍起になっているが、これ以上映画界や地球を荒らすのは止めて、ぜひぜひ帰還していただきたい。

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トランスフォーマー 最後の騎士王のポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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