映画『メアリと魔女の花』レビュー

魔法なんて〇〇〇〇!

 スタジオジブリ出身の米林宏昌監督最新作。イギリス人作家メアリー・スチュワートの原作を基に、魔法が存在する世界に住む少女メアリの冒険を描く。

 メアリが迷い込んだ魔法学校の校長は、生物実験を幾度となく繰り返し魔法をコントロールしようと暗躍している設定だ。そう、本作における魔法は物を浮かせたり瞬間移動をするような楽しい夢の力ではなく、現実世界における科学技術の暴走や制御不能の原子力を連想させる危険なものであり、その他多くの同系ジャンルの作品とは異なり魔法を否定的に描いているのが印象的だ。

 なのでメアリは魔法を習得して魔女になる道を選ばず、魔法を封印するために奔走する。彼女が見せ場で言い放つ「魔法なんていらない!」というセリフに、制御できない力への恐れと拒絶が込められている。魔法の世界を描きながらその魔力に溺れることなく現実世界のメタファーとして重たいテーマ性を持たせるなんて、素晴らしい挑戦じゃないの。

 ただ、そんなメッセージ性を除けば本作はことごとく平凡な仕上がりだ。ありとあらゆる場面が既存の作品の既視感に溢れ、そもそも絵面自体もスタジオジブリのトレースという始末。近年のヒットアニメの流行に乗っかったタイトル、そしてありきたりな少女の成長物語に収まるあたり、結局は興行的成功を加味したプロダクトなのかと落胆してしまう。着眼点は鋭いだけに、一貫してオリジナリティに恵まれなかったのが残念でならない。

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メアリと魔女の花のポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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