映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』レビュー

退屈な出来栄えも、アトラクションと思えば乗り切れる。

 ハリウッドの方式に則って過去4作目まで製作された本シリーズ。回を重ねるごとに完成度は落ちていき、特に3、4作目のグダグダっぷりはジョニー・デップの演技すら食傷気味に思えてしまうほど酷いものだった。懲りずに第5弾を製作するなんて商業主義もいいところだと半ば呆れ返っていたら、これが意外と悪くなかったりするから困ったもの。

 いや、確かに凡庸な出来栄えだ。単純な物語を無駄に掻きまわすだけの展開、取って付けたような人間ドラマ、リズミカルとは言えない笑いの仕掛け。何でもありの世界観はスリルやサスペンスなどあったもんじゃなく、とてもじゃないがイマジネーションなんて言葉で形容できるような内容ではない。

 ところがどうだろう。シリーズ最短2時間9分に収まった物語はテンポこそ良く進むので、エンドレスなグダグダに付き合わされるストレスは皆無だ。何よりこのシリーズはVFXのレベルが高いのが特徴で、今回も海面を突き破る海賊船、焼け落ちる海賊旗、砲台を飛び移っての追いかけっこ、敵役のバルサザールのおどろおどろしいメイクなど、心躍る場面は少なくない。技術的には目新しいものではないが、ファンタジックなハッタリをきちんとヴィジュアルで表現するあたりは本シリーズの持ち味であり、大画面で鑑賞するハリウッド映画らしい魅力だ。

 新キャストではハビエル・バルデムのエキゾチックな役作りも捨てがたいが、ヒロインに抜擢されたカヤ・ステゴラリオの凛々しさを推したい。目鼻立ちのハッキリとした表情とメリハリのある所作は芯の強さを感じさせ、この手の大作に起用されがちなお飾りの美形ヒロインとは一線を画す存在感の強さだ。25歳にして私生活では立派なママであるらしく、逞しさは地で行ったか。

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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊のポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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