映画『ハクソー・リッジ』レビュー

戦場のクライスト

 太平洋戦争時、武器を持たずに最前線で仲間の救助に尽力した衛生兵の活躍を描く、感動の実話。

 アンドリュー・ガーフィールド演じるデズモンド・ドスは兵役に志願するものの、頑なに銃を手に取ることを拒否し、挙句の果てには軍法会議にかけられて禁固刑の一歩手前まで行ってしまう。軍隊に身を置きながら戦闘拒否なんて、これじゃあ開き直って一切仕事をしない新入社員と同じじゃないかと思ったが、彼の行為は「良心的兵役拒否」という考え方に基づいたもの。これは宗教や信条の理由で兵役を拒否するもので、合衆国憲法によって保障された立派な個人の権利だそうだ。

 という訳で、彼は武器を持たずに沖縄の“ハクソーリッジ(のこぎり崖)”と呼ばれた前田高地の戦闘に参加する。丸腰の彼は本来なら足手まといになってもおかしくないが、獅子奮迅の働きっぷりで負傷した仲間を次々と救い、いつしか味方の希望となっていく。

 ハクソーリッジの英雄がシモ・ヘイヘや「アメリカン・スナイパー」のクリス・カイルのような凄腕の兵士ではなく、ピストルすら持たない衛生兵だったというのは驚きだ。(もちろん、多分に脚色はあるのだろうけど。)愛や正義を信じて敵味方問わず一人でも多くの人を助けようとした彼は、まさに戦場のクライスト。目が見えなくなった兵士を治す場面なんて、まんまイエスの奇跡だし。

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ハクソー・リッジのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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