映画『フリー・ファイヤー』レビュー

もう少しユーモアが欲しかった

 銃器の取引のため、とある倉庫に集まったヤバそうな面々。ところが注文していたのとは違う銃が用意されていたことから雰囲気はピリピリし始め、やがて総当たりの銃撃戦へと発展していく。90分という短い上映時間を目いっぱい使って繰り広げられる秩序無き撃ち合いは、確かにプロデュースを務めたスコセッシ的であり、罵り合いと暴力の連鎖はタランティーノ的でもある。

 かつて哲学者のトマス・ホッブズは人間の性質を「万人の万人に対する闘争」と表現したが、本作の構図はまさにそれ。法も秩序も目の届かない世界の中で、人は他者に対してどこまでも利己的に、そして暴力的になっていく。

 大の大人がひたすら喚いて撃ち合うカオスな弾けっぷりは楽しいが、アクションは位置関係が整理されておらず、何がどうなっているのか分かり辛い上に画的にも単調だ。キャスト陣も曲者が用意されている割にはキャラクターの個性に乏しく、豪華メンツを活かしているとは言い切れない。何より陰鬱で爽快感の無い結末は残念。この手の作品は観る者の予想を裏切るスカッとしたオチが似合う。もっと映画を包み込むユーモアが欲しかった。

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フリー・ファイヤーのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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