映画『LOGAN ローガン』レビュー

ラスト・ウルヴァリン

 本作でウルヴァリン役からの引退を表明しているヒュー・ジャックマン。「X-MEN」がスタートした2000年当時、無名のオージー俳優だった彼はシリーズの成功と共にスターダムの階段を駆け上がり、今やハリウッドを代表するナイスガイへと華麗なる大出世を遂げた。そんなサクセスストーリーをリアルタイムで目の当たりにして来た者にとって、50代を目前に控えた彼が自らのライフワークに終止符を打つ姿は感涙ものだ。キャリアを積んでスターとしての風格・人格と渋みを携えたヒューの役者としての半生がウルヴァリンの苦悩に満ちた人生とリンクし、静かな作風ながらその厚みはまるでサーガのようなスケールの大きさを持つ。

 劇中ではX-MENの活躍がコミックになり、人気を博しているというメタ的な設定が採用されている。コミック内の絵空事に胸を躍らせる人々に対し、ウルヴァリンは「現実はコミックとは違う。現実世界では人が死ぬんだ」と突き放す。その言葉から浮かぶのはこれまでのシリーズで流れた血であり、失われた命であり、それらの亡霊に憑りつかれたウルヴァリンの切なさだ。特殊能力は贈り物であると同時に呪いでもあり、ミュータントたちが背負ったXの十字架の重さが胸に迫る。ここまで来ると完全に連作としての評価ではあるものの、ウルヴァリンの物語としてはもちろん、「X-MEN」シリーズを通してのテーマにすら回答を用意した粋な結末はお見事。

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LOGAN ローガンのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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