映画『メッセージ』レビュー

空から降ってきたバベルの塔

 人類が天へと届く巨大な塔を建設していると、神は戒めとして塔を破壊し、人々の言語をバラバラにしてコミュニケーションが取れないようにした。いわゆる「バベルの塔」のエピソードである。

 突如として世界各国の上空に現れた宇宙船に対し、人類は各方面の専門家を総動員して事態の究明を急ぐ。「異星人とのコンタクト」と言う題材は決して珍しいものではないが、ここでは言語学者を中心として知的な側面からアプローチしていく点が斬新で面白い。

 さて、この宇宙船に対する各国の対応は様々だ。とりあえずは世界中の基地が連携して進捗状況を共有しながら足並みを揃えるはずが、武力行使をいとわない中国とその他の国々の関係は次第に悪化していく。違う言語を話す人々がコミュニケーションを失っていき、滅亡を呼びかねない開戦の恐怖へと突き進んでいく様はまさに「バベルの塔」のエピソードを連想させる。

 そんな中で主人公の言語学者が異星人の言語を辿って混沌とした世界に一筋の希望を見出す過程は、現代におけるバベルの塔の再建であり、散り散りになった人間の再生の物語でもあるだろう。時空を超えた壮大なメッセージを読み解くとき、人類はまだ手を取り合う時間が残されていることを知るのだ。

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メッセージのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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