映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』レビュー

ワイスピ一家、世界を救うの巻

 5作目以降格段にスケールアップし、ビルからビルへの大ジャンプに戦車やドローンとの戦いなど、世界を股に掛けたSF映画へと変貌を遂げてきた本シリーズ。その最新作は第三次世界大戦の脅威を止めるためにお馴染みのメンツが立ち上がるというもので、タイトル通り氷上を舞台に巨大な潜水艦はもちろん核弾頭まで登場する始末。ここまで来ると“ワイルド”や“スピード”も関係ない。いっそのこと「ムキムキ大作戦」にでも改題してはいかがだろうか。

 ポール・ウォーカーが去った後の初のシリーズを担当したのは、F・ゲイリー・グレイ監督。今回はドムがファミリーを裏切ることから物語がスタートし、過去の秘密が暴かれるというシリーズで最もシリアスなムードだ。同監督の起用は前作「ストレイト・アウタ・コンプトン」を成功に導いたドラマ面での演出力を買われてのことだろうし、何せリメイク版「ミニミニ大作戦」でカーアクションの実績はあるわけだから、納得の人選である。

 ツッコミどころ満載のストーリーはいちいち書き起こす気にもならないが、“ファミリー”を軸に展開されるメッセージ性はクライマックスに向けて次々と伏線が回収され、意外にも綺麗にまとめられている印象だ。そしてド迫力のアクションは見逃せない。「マッドマックス」を彷彿とさせる氷上での一本道なアクションは、ワイヤーで引っ張られたり砲撃を受けたりと車にかかる物理的な負担がしっかりと表現されており、CGに負んぶに抱っこな前作とは違って荒唐無稽な派手さの中にも重量感のある仕上がりだ。オチの付け方も秀逸で、「MEGA MAX」のリオデジャネイロの市街戦以来の満足度。グレイ監督にはいち早くワイスピファミリーを離脱し、その才能をガンガン活かして新作を製作して頂きたい。

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ワイルド・スピード ICE BREAKのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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