鍵泥棒のメソッド

2012年09月15日公開
鍵泥棒のメソッドのポスター
7.4

どんな映画

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フリークレビュー
6

入れ替わってやり直して。

売れない役者と凄腕の殺し屋が入れ替わる。「入れ替わりもの」って「大逆転」「転校生」等映画でもジャンルになるんじゃないかって思うぐらい幾つかあるけど内田けんじ監督の前2作の「時制入れ替えもの」から人間そのものを入れ替えて入れ替え好きだな〜と。相変わらずディティール細かく楽しめたけど後半の「まとめ」が纏めすぎて物足りなさも感じる。逆に言えば前半の広末・香川(記憶喪失)カップルがいじましくて応援したくなるぐらいすごく良かったから纏めのドライブ感が物足りなかったのかも。

内田けんじ監督作品はどっちかっていうと地味でゆるいけどそのゆるさはチャームがあって好きな部分。悪党(ヤクザ)が間抜けなのも賛否あるでしょうが、悪党なんて必ずしもかっこ良く描いてやる必要なんてない。荒川良々がちゃんと怖いのも良々だったしヨーロッパ企画度の高さも良かった。

あと内田監督は単純なラブスートーリーも良いのでは?といつも思う。でも思考は意外とハードボイルド?必ずヤクザ、探偵等絡んでくるけどそっちだけでやるのも違うのかな。

裏テーマで「人生やり直し」みたいなのもあったのかも。台詞でもあったけど人生予定通りにはいきませんなー。

川崎 タカオ
川崎 タカオのプロフィール画像
イラストレーター
8

やっぱり我々は、内田けんじの手のひらで転がされる

残念なことに内田けんじは、引き算や割り算で評されることが多い。誰よりも良質な作品を作り続けているのに。いや、誰よりも良質な作品を作り続けているから、か。特に劇場デビュー作『運命じゃない人』にとらわれるとそこに陥りやすい。間違ってる。今や内田けんじは足し算とかけ算で見るべきだ。
「引き算」的見方とは、時制カラクリ映画の傑作『運命~』のテクニカル度を基準に、減点方法で「採点」しようとするスペック主義のことだ。勿体ないとしか言いようがない。そのような見方はしばしば「カラクリに途中で気づいた/最後まで気づかなかった」ことに満足度が支配される。じつに自己けんじ的な見方だ。内田けんじは、もうその先を行っている。

『運命~』に比べて『アフタースクール』そして本作は登場人物の魅力が格段に上がっている。『運命~』ではカラクリの構築に多くが費やされ、複雑な物語の「構造」に人物がコマとして「配置」されている様な印象を与えるからか、そのカラクリには感激しても、今一つ登場人物そのものを愛するには至らない。結果、観客は「感動」の代わりに「納得」を持って帰る。

今作で内田けんじは、自身の作風である「時制のカラクリ」を捨てた。代わりにひとつひとつ、実に丁寧に心の機微をすくい、登場人物の生理に沿って物語を積み上げている。なぜ接点のない二人は惹かれあったのか、なぜ心ない殺し屋が役者の道に目覚めたのか、なぜ彼女は重要アイテムである彼のノートの存在に気付いたのか...物語の重要な局面に置かれた「なぜ」が実に生理的に紡がれているため、登場人物は「転がされる」ことなく「導かれ」、したがってコトは流れるように展開し、物語 が観客の心に沁みるように広がっていく。
そんな時系列を心地よく見つめながら、でもやっぱり我々は結局、内田けんじの手のひらで転がされているのだろう。

田中 啓一
田中 啓一のプロフィール画像
詩人だねぇ
7

「先入観」を逆手に取る巧みさ。観客への温かいプレゼント。

このレビューにはネタバレが含まれています。

不遜な殺し屋・コンドウ=香川照之が、真面目でキョドった役者に。
他役では端正な堺雅人が、どうにもだらしない役者・桜井に。
そして快活で奔放な印象の広末涼子が、硬い表情の婚活編集者=水嶋香苗に。

役者に「真逆」の役を当て、観客が持つ「先入観」を逆手に取り、何とも言えない「居心地の悪さ」を生み出し、スリルにつなげる。
さらに、前3作で印象を決定付けた「きっと来るどんでん返し」を期待する「先入観」をもはぐらかす。

メイン3人の誰もが、それまでの自分の殻を割る瞬間を獲得する。
それは「入れ替わった」「関わった」からこそ迎えられた瞬間。
アクシデントも人生、だからオレもキミもここにいる。そんな視線は、 物語のメイン3人だけでなく、観客への温かいプレゼントでもある。

パンフの英題は「Key of Life」。まさに「人生の鍵」。違う鍵で違う人生が開く。そこで開いた人生は、決して悪くない。

香苗を支える職場の部下たちがツボ。特に副編集長がステキ。周囲からメインの造形を浮き上がらせる手管は相変わらず巧みだ。
一方気になるのは、画のくすみ。ゴージャスに見せるべきところがそう見えておらず「ゴージャスですよ」という「情報」になってしまっている。
そして「敵」がミスキャスト。ここだけは先入観に負けた。彼でなければならない理由が見つからない。

別の筋立ても考えてしまう。例えばコンドウが役者に目覚めた初の大舞台の観客席で、桜井が請け負ったヤバイ仕事が香苗の隣の席で行われ、芝居のクライマックスでコンドウが記憶を取り戻す…!というのはどうだろう。そんなのも観てみたい。あの3人の、また別の人生を垣間見てみたくなるほど、彼らはクセモノで興味深いのだ。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
7

小野武彦のキャスティングに内田けんじ映画らしさを見る

万人が楽しめる安心の内田けんじブランドは健在。実は「万人が楽しめる」も「安心」も、映画批評では決して褒め言葉にはならない表現なのだが、この批評では素直に褒め言葉と捉えていただきたい。

この2つのキーワードは、内田けんじ映画の確固たるポリシーだ(と勝手に断定)。例えば内田けんじ映画に決まって登場する裏稼業の人たち。「運命じゃない人」で山下規介が演じた金に困ったヤクザに代表されるように、裏稼業の人たちも基本的にイイ人で憎めない。演じるのも悪人面の似合わない役者ばかり。内田が語りたいストーリーを円滑に運ぶ上で、裏稼業に余計なリアリティは不要というわけだ。

今回の映画でもっとも内田らしさを感じたのは、広末涼子演じるヒロインの父親役に小野武彦をキャスティングしたことだ。普通なら“泣かせどころ”となるビデオ上映のシーンは、コミカルな芝居が売りの小野によって、まるで“泣かせ”をはぐらかすように笑いに転じていく。必要以上の凹凸は避け、ストーリーテリングの邪魔をしない。こうして「安心」のブランドが築き上げられていく(ヤクザ役の荒川良々のキャスティングもそう)。

ディテールの凹凸がそぎ落とされ、全体的にまあるく収まっているイメージのある内田映画だが、一方でキャラクターの描きこみが徹底されているのは大きな強み。そこは「万人が楽しめる」「安心」ブランドの先人・三谷幸喜をしのぐ魅力がある。

今後、知名度を上げるにしたがって三谷やシャマランのような“らしさ”を期待されるようになる内田が、どんなキャリアを築いていくのか楽しみ。個人的には、(勝手に断定した)確固たるポリシーを崩さず疑わず、安心の内田けんじブランドを築き上げてほしいと願う。

芳賀 健
芳賀 健のプロフィール画像
映画ライター・編集
8

愉快に張り詰めたる2時間強。

「最後まで見せ切る」とは、このこと。
しかも、観客の肩に力は入れさせない。
巧に組み立てられた展開のなかに、堅実に仕込まれた「笑い」「感動」「リアル」「驚き」。
これぞ、内田メソッド。
まさに、「オリジナル作品のソコヂカラ、ここにあり!」なのだ。

いつものようにトンデモ事件がこじれていくなかで、今回、特に「リアル」が突出していたように思う。
広末涼子演じる雑誌編集者。
まともに恋愛を知らない36歳。
というと、いかにもイタイ女であるが、内田けんじ監督は、非常に温かい目で描いている。
描写はコミカルであるが、彼女が部下に愛され支えられいることも伝わってくるし、
「第三者に指摘されて、初めて自分の恋心に気付く」なんていう恋の初期症状も、比較的出番の少ない彼女の変化のなかで、ジャストのタイミングで発症させる。
これほどまでに軽やかにやってのける「リアル」は、なかなかお目にかかれない。

そして、内田イズムのもと、魅力を引き出された俳優たち。
ここんとこ、香川照之が名優であることを忘れそうになっていたが、思い出させてくれた。
熱演や、深刻な演技ばかりが演技ではなーい。
感じたのは、トム・ハンクスに出会った時にも似た「俳優へのリスペクト」。

今まで、「演じる広末涼子」は苦手だったけど、本作の彼女には目を奪われた。
特に、葬儀で上映されるDVD映像を睨みつけるように見つめる顔。
あの瞬間、完全に「広末涼子」は消えていた。

個人的には、メインだと思っていた堺雅人が、予想よりも影が薄かったかな。
というところで、若干のマイナス。

それにしても、山崎が書き溜めた「note」、全部読みたいぞ!!

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員
6

もっとコンスタントに観たい。

何年も凄く楽しみにしすぎている内田監督だからなのか、
年々、自分の中のハードルが勝手に上がっていくので困る。
というのは、さておいて楽しみにしていた一作です。

どうして前半から今ひとつ付いて行けなかったのかを延々と考えている。
一つはあの救命士の描き方なんだけど、本当の意味での理由に悩んでいた。

この作品の香川さんがここ近年の中では特に魅力的に思えて、
正直、堺さんの役がもっともっと小さくても良かったのではないかと
思ってしまったからなのだと思う。
もしあの34歳売れない役者という役を本当に売れていない34歳の僕がやれば
相当笑えたと思う。下手くそに見える演技を魅せる堺さんよりも
僕が巧く見せようとする真剣な演技の方が、遥かに痛々しいからだ。
そしてそんな卯建の上がらないニートのキャラは脇に置き、
広末さんと香川さんのあの応援したくなる二人の人生のスタートへ
一緒に連れて行ってほしかったのかもしれません。

とはいえ、このテンポも軽妙さもポップさも内田監督の魅力。
日本を代表する監督の一人にはこんなに間隔をあけずに楽しませてほしいと
観客を代表して願うばかりです。

森口瑤子さんも最高でした。
なんであんなに不機嫌な女って魅力的なんだろう。

完山 京洪
完山 京洪のプロフィール画像
映画人
8

香川照之かっこいい

このレビューにはネタバレが含まれています。

 内田監督の作品はお客さんを欺くことばかりに熱心で、内容が非常に無味乾燥になっていたようで全然好きになれなかった。特に前作『アフタースクール』はゲームみたいな内容でとてもがっかりした。

 今作はトリッキーなお話の魅力は活かしながらも、人間味を大変濃厚に描いていてとても面白かった。香川照之のかっこよさ、シャツをズボンにインしながら生真面目で努力家なところなどとても魅力的だった。広末の高齢処女ぶりのかわいらしさもよかった。そして特に堺雅人は気弱でお人よしというような役が、これまで魅力的に描かれ、それがとても嫌いだった。虫酸が走るレベルで嫌いで、見ても損した気分になっていた。ところがこの映画では、そういった気弱でお人よしな、ヘラヘラしたクズとして描かれていて見事にはまっていた。そんなクズが見せる根性も非常に感動的だった。

 不満としては、人間のエグ味のような本当に嫌な人間も描いて欲しかった。ヤクザも含めて誰もが愛嬌があり、少々ファンタジックだった。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家
7

香川さんが魅力的

おもしろかったです。
それぞれのキャラクターが魅力的で、特に香川照之と広末涼子。
2人のやりとりがほんとに幸せでよかったです。

ほんと香川照之が良すぎて…

脚本も伏線の回収も完璧。
香川照之演じるコンドウというキャラクターの職業がすこし複雑なため、そのへんが絡んでくる後半のストーリーが破綻しそうなところを、非常に上手にさばいていると思います。すばらしいです!
それから、フリのある笑いの上から更にギャグを被せてくるのでついつい声出して笑っちゃいました。
極上のコメディ映画ですね。

こんなに面白いのになんだか長く感じるなあ、とは思った。なんでだろう。
ラストは2人がもっとロマンチックな雰囲気になっても良かったと思うんだけど。もしかすると終始コメディタッチだったので最後の方飽きてきてたのかもしれないですね…そう言う意味でもっと緩急があってもよかったのではないかと。
あ、最後のオマケ的な展開は良かったです。好き!

笑顔で劇場を出ました。
久しぶりによい邦画コメディが観れて幸せ!

Azumi Miyaji
Azumi Miyajiのプロフィール画像
グラフィックデザイナ

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