帝一の國

2017年04月29日公開
帝一の國のポスター
8.5

どんな映画

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フリークレビュー
9

「慣性」に抗う「感性」。

このレビューにはネタバレが含まれています。

原作未読。ぶっちゃけノーマークだったが、まさかこんな豪速球だったとは!久しぶりに劇場で爆笑しながら楽しめた。

帝一が弾の外部入学試験問題を手に入れて奮闘、父親と自己採点する場面が素晴らしい。何度芝居を返したんだろう、それとも複数カメラの一発撮りか。ここで物語冒頭に語られた帝一の「引き鉄」は熱さと勢いに隠される。笑いの中に人物造形を込め、物語のエンジンと終盤への仕掛けを両立させている。

立ったキャラばかりの映画だが、そのキャラ立ちに無理がない。説明エピソードさえ無く芝居のみでキャラを築かせた光明の描き方なんて大したもんだ。弾の過去を晒しつつ返り討ちに遭う屋上の決裂は、コメディの中にも真摯な「生き方の激突」を描きぬいている。そして帝一が敵陣に寝返るからこそ、この物語のテーマは大きいのだ。

最初に決めたことを貫く、それは素晴らしい。けれど、それがもし間違っていたら?どうにも自然ではなかったら?自分の中のどこかに少しでも疑念があったら?帝一はそれを見事に翻した。目の前の選挙戦で誰に着くか。その小さな選択の向こう側に、より大きな目標がある。誰もが決められず変えられずに、その場の流れと付き合いでズルズル行ってしまっている。帝一はスジを通し、道を変えた。「慣性」に抗う「感性」が次第に輝き出す。

それにしても民主主義は衆愚政治と表裏一体。氷室vs森園の選挙戦を治めたのは結局生徒会長堂山の選択眼。結局は「リーダーが決める。だからこそ社会は次に進める」ということを素直に表現している。「反対のための反対」を繰り返す勢力はどこにでもいる。一方で帝一も弾も、動機は自分の中にある。外部からの評価より自分のスジなのだ。

昭和耽美とロックを合わせたキャラ立ちの世界観の中、作り物ぽさ満載を怖れたが、観終わったらアスリートの熱戦を堪能したような清々しさ。美美子の延髄斬り一閃も見逃してはならない。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター

『帝一の國』のカラーレビュー

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