ハルチカ

2017年03月04日公開
ハルチカのポスター
8

どんな映画

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フリークレビュー
8

借りを返すのはこれからだ。

このレビューにはネタバレが含まれています。

市井監督の「箱入り息子の恋」を観ている。この人は「容赦ない」。原作未読、かつあのキャスト・キービジュアルなので、どんな仕上がりになるかと思っていたら「容赦なさ」の出しどころにメリハリが付いてきた。

吹奏楽部はチームプレイ。廃部寸前になる前に何か大変なことがあったようだ。部の再建を目指す上で、その原因をさかのぼって究明しそうなもんだけど、そんなことをしている暇などない。今ここから先に行くしか無い。劇中の「時限」も効いていて、観る側が気になりがちなことも置いといて、物語はグイグイ進む。

余計な回想シーンは無い。全て「~~だった」「~~かもしれない」という部員同士の会話で「ここ以外のこと」を語り、考え、探り、追っていく。その描き方は、全てが今の一瞬一瞬の積み重ねであることを、映画の姿を借りて伝えている。実際、神の目で過去も現在も俯瞰できる人などいない。

ワンカット長回し全員芝居、それが今回の「容赦なさ」の象徴だ。チカだけでなく関わる全員をグイグイ追い詰めていく。

一人のミスがチームをコカす。チームが一回きりなら、そこで終わってしまう辛さ厳しさがある。けれどチームが続くなら、そのミスをずっと背負って行かねばならず、迷惑をかけた周囲と顔を合わせ続けるのも、正直しんどくて辛い。

盛り上がるラスト、おれなら吹き終えた後にあんな風に笑えるだろうか。「借りを返すのはこれからだ」と空を睨み付けるかもしれない。大舞台で失敗するリアル、大団円を迎えるフィクション、その狭間を、この映画は誠意をもって走りきった。そして「借りを返すチカ」を、続きをさらに観たくなる。

皆渾身の演技。個人的には小出恵介に感じ入った。「イン・ザ・ヒーロー」のマネージャー役も印象深い。「人を支える人」が似合う。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター

『ハルチカ』のカラーレビュー

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