シン・ゴジラ

2016年07月29日公開
シン・ゴジラのポスター
8.8

どんな映画

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フリークレビュー
10

この「ニッポン」こそ、おれたちだ。

このレビューにはネタバレが含まれています。

膨大な情報量。厚くて熱い人間描写。怒涛のスピード感。現代メジャー邦画の悪い癖「恋愛」「涙」「感情移入」など切り捨てて、社会的・政治的に指弾されそうな要素にも正面から取り組んだ。【登場人物たち】と【出演者製作陣】は、危機感と目的意識を明らかにして、日本人ならではの叙情や予断や旧弊を捨て、論理と科学を下敷きにして状況と戦っている面において、全面的に重なっている。

米メジャーのヒーロー映画はVFXで「何でもアリ」。本作はその鬱憤を見事に晴らした。どんなに有能でも、本作の登場人物の能力は「人間以上」のそれではない。果てなく続く日常の仕事で培われた能力なのだ。それらが無数に組み合い、対策を編み出し、危機に立ち向かう。

そういう意味で本作は「お仕事ムービー」でもある。普段何かと槍玉に上がる政治家や官僚たちの仕事が何なのか。彼らの仕事とおれたちに通底するものは何なのか。それは明らかで「生存の追及」だ。序盤では無力に見える政府の面々が「巨災対」を中心に動き出し、ゴジラと同様に「進化」し始める。状況に応じて進化せねば生存は覚束ない。

それは現実を反映している。都知事選の結果は「有権者は総花的な理想などではなく…ましてや無闇な反権力的行動などではなく…具体的な対策・生存の追及を求めている」証左と言って良い。平和や理想を語れるのも、固い泥臭い仕事を背負い、状況に対応している人々がいるからこそだ。

政治の丁々発止を描きながら、つき物である嫉妬や権力闘争などが無かったのも本作の魅力。311以来閉塞しっぱなしに見えた日本で【こうやって状況を乗り切るんだ】という姿勢を、映画そのものがおれたちに示している。それこそフィクションの大きな役目。自分の人生、どこまで自分を研げるか。巨災対の面々と同じように、状況を切り拓けるか。駆り立てられる。この映画で描かれた「ニッポン」こそ、おれたちがめざすべき姿だ。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター

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