天空の蜂

2015年09月12日公開
天空の蜂のポスター
6.7

どんな映画

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フリークレビュー
9

ここまで来たぞ、日本映画。

このレビューにはネタバレが含まれています。

原作未読。1995年という舞台を現代に翻案せずそのまま描ききったことに深い意図が読める。【仮にこの事件が実在しても、現在まで日本という国も日本人という国民も、現在まで結局なにも変わらないままなのだ】という絶望的な仮説なのだ。

巨大ヘリの性能から政府の魂胆を喝破する三島(本木雅弘)。社会を支える暗部の矛盾を怒りとともに吐きつける雑賀(綾野剛)。窮地の頭脳でヘリの弱点を見出す湯原(江口洋介)。情報と感情が絶妙にブレンドされた台詞が、計算されたシーン進行から的確に放たれる。ホンの鍛え方が半端無い。

作り手が訴えるのは、反原発の理想でも、安全保障の拡大でもない。為政者の深謀の末に、戦後の日本人が、豊かになることを優先して目を背けてきたこと…それによる蒙昧だ。「見たくないものは見ようとしない」。それに反して、物語の人々は各々の立場で矛盾に直面しながら死力を尽くす。終盤で対峙する湯原と三島は、まさに「矛と盾」の激突だ。

60年70年になんなんとする戦後史の中、日本は隔絶した一国でなく、各国と無数のトレードオフを繰り返して最大多数の生存を模索してきた。理想は無く、絶対悪は無く、混沌の中絶えず綱渡りの現実を生き延びるしかない。選択を迫られるのは、観客であるおれたちを含めた国民一人一人なのだ。そして、そんなおれたちの生存を支えてくれる、現場の人々の苦闘を忘れてはならない。日本の暗部を下敷きに、1.17から3.11までを再構成した「物語る力」に感嘆する。

真相を追う室伏刑事(柄本明)、技術と信念の裏打ちで安全を宣言する中塚所長(國村準)の「現場職人」たる静かな迫力。そして大人たちの戦いに触れた、湯原の息子が選択する未来。混沌が増す世界に出て、ちゃんと話して戦える大人でありたいと熱くなる。政治的な思惑の有無は別にしても、堂々のサスペンス大作。ここまで来た日本映画、絶対に観てほしい。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
8

テーマは重くても、エンタメに振り切ったのが好印象

イラストレビュー

白状すると、脚本の楠野さんとツイッターで仲良くしてもらっているので、ちょっと贔屓目はいっちゃいます。でもご本人から「好きにレビューしてね!」と言っていただいているので、基本的に好き勝手書かせていただきます。

めっちゃビックリしたのが、今回の主役「ビッグB」のど迫力。
この怪物が飛び立つシーンは超怖くて、ほんとに鳥肌が立ちました。ものすごい風圧とものすごい轟音!子供は泣きます。
そして、関係各所が状況把握するまでがめちゃくちゃスピーディー!
序盤から一切ダレることなく、ビッグBの迫力とお話の疾走感でぐいぐい引き込まれて、エンディングまでずっと拳を握りしめていました。

たしかに、登場人物はかなり心情をベラベラと喋ります。
ニュースの実況はスポーツ番組みたいで胡散臭いです。
ちょっと演出的にウッとなってしまうシーンも多いです。そういうシーン、見たくなかった… とか。(某女優さんが苦手なので…いや何でもないです…)

でも、序盤の思い切った圧縮と、ミステリー色を必要以上に押し出さず「それぞれの持ち場でめっちゃ頑張る人たち」という一点にクローズアップした脚本。
邦画でもこんなヒーロー描写が出来るんだ!って思った、マンガみたいなんだけど、マンガみたいに見えない演出。
テーマは重く、とても考えさせられるんだけど、決して暗い気持ちにならずに劇場を出られる、あのラストの清々しさ。

この映画にかける意気込みとか、問題を誠実に扱いながらも、エンタメに振り切って客を楽しませようとしているところとか、そういうのが作品から伝わってくるところがとても好印象でした。
ほんとに迫力がものすごいので、是非劇場で!

もっくん、美しかったです。やっぱりもっくんは最高ですね。

Azumi Miyaji
Azumi Miyajiのプロフィール画像
グラフィックデザイナ

『天空の蜂』のカラーレビュー

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