S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE

2015年08月29日公開
S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTUREのポスター
6

どんな映画

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フリークレビュー
5

象徴の「盾」。

このレビューにはネタバレが含まれています。

原作未読だがドラマは全てOAで観た。ドラマでの人物模様は熱くて大雑把だが憎めない魅力に満ちていた。しかしアクションサスペンスに必須の「敵」の造形は食い足りなかった。

申し訳ないが正木(オダギリジョー)は格好も振舞いも「よくある悪役」だ。政府や警察の面々を睥睨するようでいて、結局は一號(向井理)と同じ地平に降りてしまう。テロリスト達も類型的な「ならず者」ばかり。黒幕も薄い。

現実の日本を囲む潜在的な脅威は隣国、中東、右派左派、いくらでもある。それらからリアルに姿を取り「表」の悪役を、彼らとの深い取引を経て危機を演出する「奥」の悪役を描く手もある。例えば「日本の武装は撤退したい米国にも仕掛けたい中国にも得」という見方で描けば、陰謀も厚くなる。

例えば実力で戦うSたちと並行して真相を捜査する警察がいて、彼らには手の届かぬ「世界の真相」を目の当たりにしたならば、敵の本当の強大さ、守るという務めの重さ、「制圧」と「確保」の葛藤が際立つ。現状では、なんだかんだの末に勝つことが分かっている座組にしか見えないのだ。

そんな中の白眉はやはり一號だ。双腕に「盾」を備えて身を屈め、弾幕にもひるまず突き進む。話して分からない相手を、力ずくでも抑え込む。明らかに自分より強く武装した敵を、殺さず、捕らえる。守りつつ、攻め込む。不格好とも言える一號の姿は、その葛藤を無理やり肉体化させた、この物語の象徴だ。不穏な国際情勢に対応せざるを得ないこの国の歪みをも連想させる。そして一號たちには思想や理念をこねくり回す暇など無い。いつおれたちがそんな場に遭うか分からない。一號の姿は勇気と危機感の双方を掻き立てる。

家族の姿をしつこいくらい温かく描くことで、守る務めの大事さを愚直に際立てている。しかしそんなSの面々に「世界はお前らの手に負えない」と宣言する強大な悪が、この物語にはまだいないのがもったいない。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター

『S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』のカラーレビュー

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