バケモノの子

2015年07月11日公開
バケモノの子のポスター
6.2

どんな映画

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フリークレビュー
3

もらい過ぎ。

このレビューにはネタバレが含まれています。

闇を持たぬ者と闇を持つ者の二元論で世界を分けている。世の中はそれほど単純じゃない。単純じゃない世の中を拒んで飛び出した蓮が迷い込んだ先は、単純な世界。幸運な逃避だ。行った先では無双の強者・熊徹の弟子になって武術に熟達し、帰ってくれば美少女・楓と知り合って、自分を放って去った元の父親にも優しくされる。

闇を宿した一郎彦も小さい。せっかくなら実の父親をも倒し、人間でありながらバケモノの世界を統べ、人間の滅亡を企ててもいい。それを蓮=九太が身を挺して止めにかかる、となれば面白い。悪いのは「闇」のせいで、お前自身のせいじゃないんだよ、ということか。甘すぎる。

しかも九太が自らの「闇」を熊徹に埋めてもらうとは。もらい過ぎだ。自分の闇は自分で御して初めて大人になれる。喪った人がずっと胸の中に居続けて会話できるなんて甘えた話があるものか。喪った人の記憶は思いのほか薄れやすい。その流れに抗い「忘れない」と挑む心、喪った人が自分に何を残してくれたのかを日々生きながら確かめ続ける行為こそが大事なんじゃないのか。

魔法やテクノロジーで既存の物理法則を超えられようが、犠牲と獲得・破壊と再生・克服と成長、それらはファンタジーと現実の双方に共通すべきだ。この物語はそのタガを外して、何となくの優しさを際限なく注ぎ込んでいるように見える。

渋谷と合わせ鏡の「渋天街」は大発明。おれならどう使うかを考えた。渋谷の人間達をもっと多めに渋天街に迷い込ませ、逆にバケモノ達に渋谷を闊歩させ、どんどん混ぜてしまいたい。朴訥な渋天街が猥雑な渋谷に侵される。渋天街では鼻つまみだった熊徹が、その強さに魅せられた渋谷のワルどもに祭り上げられ渋谷に寝返る。そんな動乱に翻弄される九太や楓たち。たまらずいよいよ渋谷に大反攻する渋天街。九太は熊徹を戻し、衝突を治めることができるのか。そして九太が選ぶ世界はどっちだ。これどうよ。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター
5

シナリオが雑

このレビューにはネタバレが含まれています。

 くまてつが気持ちのいい人物でよかった。

 なぜいきなり鯨の文学に興味を持って、偶然その本を目にしたライバルが鯨のイメージで攻撃を仕掛けるのか、あまりに唐突で雑だった。イノシシなら腑に落ちやすいのではないだろうか。

 主人公の親戚の態度があまりにひどい。分かりやすさを優先させた表現だと思うのだが、ひどすぎて雑な感じがする。

 主人公のくまてつに対する態度が悪すぎる。意思の強さを感じさせるのだが、あんな態度の子供は大嫌い。立場をわきまえて、最低限の礼節を守った上での生意気さを表現して欲しかった。

 主人公の実の父親が何の落ち度も描かれていなかった。単なる善良な人で、お母さんもいい人そうで、それで一体なぜ離婚をしたのか不明だった。だらしないとか浮気性だとか、それでも魅力的だったというような人物像でお父さんを描いてほしい。

 約束された特別な人が、約束通り特別恵まれた人生を送るというような話で、全く感動できなかった。元々主人公の能力が高いのも、見ていて他人事という感じがした。

 それでいて、くまてつを心に宿しながらその後、剣をにぎることなく、バケモノ界とも離れて生活するような結末だったが、いいのか? リーダーとして活躍すべきじゃないのか。

 バケモノの世界では人間は心の闇を抱えている存在だと決めつけているのも不愉快だ。

 くまてつがよかったし、退屈もしなかったけど、面白いとは思えなかった。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家

『バケモノの子』のカラーレビュー

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