海街diary

2015年06月13日公開
海街diaryのポスター
8

どんな映画

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フリークレビュー
10

また会いに行こう。

このレビューにはネタバレが含まれています。

原作未読だが、いつか読もうと思っていた。それがあの女優陣で映画化される。それだけで勝ったも同然じゃないか。その期待は裏切られなかった。是枝監督作品の中でも、個人的には「奇跡」が大好きだ。「生活の中に息づく言葉」をそのまま撮りに収める手腕が、さらに際立っている。

何より計算高い。佳乃(長澤まさみ)の「足」から入るファーストカットで鷲づかみ。そして「アレするから」という曖昧な台詞が、役者と本人の境界線に「素」を垣間見させる。誰もが振り向く容姿をたたえた四人の美女にそれをさせるから、映画の世界に観る側を引き込む力が滑らかで強いのだ。

蹉跌は誰にもある。それでも進めるのは、まとまらない私的な言葉を受け止める相手がいるから。そんな相手がいなくとも、日々の天気や食い物が、自分の感覚を穏やかに励起してくれるから。長いカット、短いシーン、丁寧に積まれた中に醸される大気が「あなたもそこに生きていれば良い」という全面的な肯定を生んでいる。

そば、天ぷら、梅、納豆ごはん、おはぎ、アジフライ、シラス、ポテトサラダ、梨、様々な食べ物があって、みんなしっかり食べている。そんな一日一日が、閉塞から踏み出したすず(広瀬すず)を幸(綾瀬はるか)佳乃、千佳(夏帆)に近づけていく。劇的な一瞬はない。振り返れば静かな物語となる人生がある。四姉妹の歩みが、観る側の人生の普遍につながっている。

映画やらニュースやら、一旦枠で切り抜かれた映像は、観る側を「他人」にしてしまう。なのにこの映画は「感情移入」などという言葉を陳腐にしてしまうほどに、観る側を鎌倉の住人にしてしまう。今日の家路に広がる空を、今日店で買い込む食い物を、大切に味わおうと思わせる。

「映画は非日常」と言われる。けれどこの映画は、夢のような女性達の存在を、観る側を「日常に帰す」健やかな力に変えている。静かな感謝が溢れてくる。また会いに行こう。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター
7

よかった

このレビューにはネタバレが含まれています。

 美人であることを放棄したような夏帆ちゃんの肩の力が抜けた感じがよかった。仕事もそれほど繁盛してい無さそうなスポーツ店の店員で、一緒にいたらさぞ楽しいだろうなと思った。

 しっかり仕事を頑張っている綾瀬はるかちゃんは理想的な人生を送っているようだが不倫で悩んでいる。映画では綾瀬はるかだから超いいけど、現実にいたら女性的な魅力に欠けるタイプなのだろうかと思った。

 家族みんなで障子の修繕したり、梅をもいで梅酒を漬けるなど、ファンタジーを感じる。

 不在の父が物語の中心に常にあった。どんな人物か気になったが、それほど語られなかった。

 淡々としていてけっこう長く、途中で飽きてしまった。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家
9

反射する父

親に捨てられた子は、その原因を自分の中に探すという。
私から去っていった父は、一体どんな人だったんだろう。
父にとって私はなんだったんだろう。
人を知ろうとする行為は、自分を知ろうとする行為なのかもしれない。
それはあくまで「その人にとっての自分」でしかないが、所詮、人は人の反射としてしか存在し得ない。だから「その人にとっての自分」は紛れもない自分であり、より自分を知る大きな手がかりとなる。

父に去られた3姉妹が、父の死によって未亡人となった3番目の妻に会う。
その涙顔の中に、父の優しさを垣間見る。
2番目の妻との間に出来た腹違いの妹スズは父の最期を看取ったという。
若かりし父を知る3姉妹と、父の最期を知るスズが、
お互いの表情や生活の中に反射した父の一面を、少しずつ見い出していく。
3姉妹のいる鎌倉に移り住んだスズは、父の通った店で父の縁の白子を食べ、父の好きだった風景に立ち、父が見た花火を見ることで、父を辿る。

ところがこの映画は父を見せない。
観客は、この4姉妹の表情に反射する父を、夢想するしかない。
姉妹たちがお互いの表情の中から父を象っていくように。
スズが鎌倉花火を見る行為は父を知る行為だ。弔いの花火は父の暗喩となる。
そこでも映画は花火を映さず、代わりに花火に赤く照らされたスズの顔を映す。
その頃にはもう観客は、その表情にしか父が存在しないことを知っている。

桜のトンネルのシーン。
上空から流れるように降りてきた「視線」が、スズの自転車の後ろにつき、桜のトンネルを走るスズに追走する。
目を閉じて顔を上げ、父の愛した桜を感じているスズの顔の表面を、花びらと木漏れ日が流れていく。
スズはおそらく、父が桜について語った今際の言葉を思い出している。
追走する「視線」が、そんなスズの表情に宿った。
観客は父の視線を通して、その表情を見つめ、父を知る。

田中 啓一
田中 啓一のプロフィール画像
娘と添い寝

『海街diary』のカラーレビュー

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