予告犯

2015年06月06日公開
予告犯のポスター
6.6

どんな映画

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フリークレビュー
7

重い誠意。

このレビューにはネタバレが含まれています。

観後感は素直に晴れない。閉塞した社会の暗部がフィクションの力で増幅され、冷たい岩のようにゴロリと目の前に置かれたまま、吹きさらしで置きっぱなしだ。

シンブンシが初手で予告する各々の事件は、準備している最中に「こんなことして何になるんだ」と投げ出したくなるようなものばかりだ。そもそもWEB上で既に自滅している連中ばかりを標的にしている。勝負は決まっている。だから大多数のネット民は適当な距離感で見て騒ぐだけで、シンブンシたちの道筋を邪魔することもない。かなり頭がいい。

しかしその「頭の良さ」に観る側が気づきづらい。シンブンシたちの本当の「目的」も、ゲイツ(生田斗真)が他の3人に準備した結末も「なるほどスゴい!」と膝を打つような感触であっていいはずだが、そんな目の前が開ける感触がしないのだ。

それは作り手側の「誠意」なんじゃないかと思った。日本社会の閉塞した空気は、フィクションでひっくり返せるほど軽いものじゃない。その場その場計画が上手くいっても、達成感などまるでない。彼らの「行き場無さ」を安易に解決せず、目を逸らしきれない大きさで静かに突きつける「誠意」だ。

4人が始めて「結束」する作業小屋の凄惨さ。ノビタに微笑む娘(小松菜奈!)の場違いなほどの可憐さ。石のように黙るネットカフェ店員(窪田正孝)の冷たさ。所々際立つ「彼ら側」描写の鋭さに比べ、警察側の描写はひたすら凡庸だ。その凡庸さが「社会側」の限界そのものなのだ。そうとしか描けぬ世界を、フィクションでありながらそう描く。重い誠意を表現する、確かな技術に感服する。

ゲイツは「友達が欲しい」と言った。言っていいのだ。その一言で挑戦が始まった。拒まれるかもしれないが声を上げてみろ。それがこの映画の答えなのかもしれない。

観た直後に「スゴイね!」ではない。じっくり反芻してジワジワくる。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター

『予告犯』のカラーレビュー

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