ラブ&ピース

2015年06月27日公開
ラブ&ピースのポスター
6.5

どんな映画

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フリークレビュー
7

夢の【先】へ。

このレビューにはネタバレが含まれています。

夢っつーのは厄介だ。無いなら無いで「夢を持て」とか言われる。持とうと思っても意外と見つからない。夢を持つ、それは「事故」なのだ。出会い頭に衝突して一瞬で取り込まれる。一旦持った夢は、核はそのまま外形を変えながら心の中に棲み続ける。一旦諦めても、その夢は生き続ける。死ぬ間際に「我慢せずに挑戦しとけばよかった」なんて言わせるほど永く。

けれど夢を持つことと、夢を叶えることは、本質的に違う。人は叶う夢を選べず、夢が人を選ぶのだ。ガラクタどもは、大切にされたいという夢を抱きながら、大切にしてくれる持ち主を選べなかった。リョウ(長谷川博己)が描いた夢と叶えた夢は、外形は同じでも中身が違っている。

猫のガラクタは「どうせまたここに戻ってくるんだ」と嘯く。そしてリョウも戻ってくる。叶わぬ夢も叶う夢も形を変えながら人を縛り、いつしか元いたところに戻してしまう。それでも夢を持つ前の自分には戻れないのだ。

園監督が20代で描いた脚本だと読んで驚いた。十数年夢を追って果たせずシガラミに塗れた人間でないと、この本質には自然にたどり着けないと思う。若き監督の夢への焦燥は、それから先に経験するであろう時空を圧縮したのだ。弱さを直視する強さに敬服する。

特撮、操演、合成、ロック、孤独、劣等感、過剰な自意識、若き日の憧れと自らへの蔑みをこれでもかと詰め込んで、観る側を刺す。

ストレートに本質を語るより、ガラクタの可愛さやロックスターの孤独さに本質を仮託する方が、よほど響く。実は分かりきっていることを、ぶっ飛ばして描くことで、より鮮やかに突きつける。これこそファンタジーの仕事なのだ。

ラストカットが強い。自分だけでは夢から「その先」に行けないのだ。夢と等しい質量を備えた誰かを求め、出会い、化学反応を起こして初めて、夢の【先】に行ける。ラストカットは「出会え、求めろ、【先】に行け」と叫んでいる。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター

『ラブ&ピース』のカラーレビュー

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