戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)

2015年07月18日公開
戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)のポスター
9.5

どんな映画

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フリークレビュー
10

いくさばを止める、すいしん力

台船が運んできたコンクリートの塊がサンゴの上に落とし込まれて暗転する『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』は、ゲート前のカリスマ的リーダー・ヒロジ氏の逮捕をはじめとする、前途多難で切ない「アメグラ・エンディング」(後日エビソードのスライド)で幕を閉じる。それが5月の先行上映。

そんな中、7月からの本公開に際してエンディングが追加されたと聞いた。なんと、6月28日までが拾われているという。完成してなお動静を追う生々しいドキュメント。
しかし、ニュースで伝え聞く限り事態は変わらず、むしろ厳しい現実が追加されていることは明らかだった。それでも見に行った。
実際に追加されていたのは、まず、柔軟で明るく威勢の良さが売りの抗議船、和成船長の逮捕。敵味方なくしなやかに相手を懐柔していくこの魅力的なアベンジャーも拘留直後の姿はどこか意気消沈して見えた。そして極めつけはヒロジ氏の悪性リンパ腫発覚による現場からの一時離脱という、思った通りの追加エピソードがつづく。

暗澹たる空気につつまれ重い腰を浮かしかけると、そこに最後のエピソード「辺野古ハーレー」の映像が目に飛び込んできた。意表を突かれてストンと座り直す。カラフルな船体から生えた何本もの腕が辺野古の沖を力強く掻いていく。祭りの持つ力を目の当たりにしてモーレツな感情がせり上がってきた。
それが6月28日。本公開の7月18日までの3週間足らずでこれをねじ込んだ三上智恵監督の気概とそこに込めたメッセージに、その場にいもしない自分がブルッときた。この映画は「現場」そのものとなり、観客の足元にまで広がる。遠く離れても戦場(いくさば)の当事者であることを自覚させる。

この辺野古ハーレーに、普段は攻防の相手となる防衛局員も、アメリカ兵も、例年通り参加していたことをニュースで知った※。何を諦めようか。もの凄いポジティビティーを感じる。なんて映画だ。

田中 啓一
田中 啓一のプロフィール画像
娘と添い寝

『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』のカラーレビュー

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