テロ,ライブ

2014年08月30日公開
テロ,ライブのポスター
8.3

どんな映画

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フリークレビュー
9

お前ならどうする?!

このレビューにはネタバレが含まれています。

ラジオをスタートに据えたのは正解。リスナーからの電話を直接受けるスタイルはマスメディアではほぼラジオだけだ。そして突発的な状況にも「画」を用意せずに済む。ヨンファ(ハ・ジョンウ)は状況を受けて局上部との交渉に臨むが、中座の間は天気や交通情報、音楽などで埋めておけばいい。穴埋めに奔走するスタッフなど知ったこっちゃないヨンファの傲岸さが、後の展開に生きてくる。

その展開が凄い。ヨンファのみならず局長(イ・ギョンソン)も含め、この事件を自分の出世の足がかりにすることしか考えていない。スクープを独占し、視聴率を稼ぎ、テレビの主役に復帰する。そんなヨンファの目論見が、一瞬にして崩れる様には総毛立つ。ヨンファの都合など知らず局長がヨンファを踏み台にする。敏腕記者である元妻は現場で生死の狭間にある。全方位からタコ殴りにされながら眼鏡を直し平静を装ってMCを続けねば未来が無い。序盤の傲岸さは一瞬で木っ端微塵にされ、綱渡りの全力疾走を強いられる。

犯人からの電話をメモしようにもペンのインクが出ない。自分なりの突破口を開くために使うスマホが床に落ちて手が届かない。細かなジャブをタイミング良く(悪く)配置して、ヨンファを徹底して苛め抜く脚本は容赦ない。

ヨンファはある意味でメディアで働く個人個人の代表だ。社会の公器などと称しながら「大人の事情」でなびかざるを得ない。その事情も自分より大きな何者かによって人権もなく暴かれ利用される。社会に一難起こったとき、組織も個人も保身に走る。その貧しくも哀しい本質が本編の恐怖の土台になっている。

あらゆる「破壊」を経たヨンファが孤独にOAを復帰させようと挑む姿には熱くなる。そしてテロリストとの交感。リアルタイム90分でつながれた、正に「ライブ」。このアドレナリン感、メディアマンなら破滅するまで乗ってみたい絶叫マシンだ。

…ごめん。やっぱり怖い。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
7

犯人はやると言ったらやるタイプ

このレビューにはネタバレが含まれています。

 ほぼラジオ番組のスタジオ内1幕ものなので、絵面が単調で、かつ電話でのやりとりなど会話劇がメインとなるため、字幕を読むのが大変だった。特に最前列の左側に座っていたため、右上の字幕に気づいたら消えていて読み飛ばすなど、疲れてうとうとしてしまった。

 しかし、長い映画ではないものの常に緊張感を途切れさせないような工夫がなされていて、それでも眠くなってしまうのは、こちらのコンディションの調整不足もあるので、非常に申し訳ない。

 「死んでやる」「殴ろうと思った」というのは大抵の場合、やらない人のセリフであると思っているのだが、この映画の犯人はやると言ったらやるタイプで、いろいろな人がいるから発言で軽く見るのはやめようと思った。犯人がそんな人であるため、寸止めのすっきりしない感じは全くなかった。

 主人公が最初ダラダラとグラサンでDJをしていたのに、気合を入れてばりっとした格好になる場面はとてもかっこよかった。

 CGが素晴らしくてどこまでがCGなのか全然分からなかった。

 韓国の警察、ビルで宙ぶらりんになっている犯人を射殺するなんてひどい。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家
9

闘えているか!?

この一人のキャスターの話は、観る私たちの話でもある。
なるべくネタバレしないように書いてみようと思う。

元TVキャスターが、ラジオ番組へ異動。
気の乗らない番組に入った一本の電話から、事件が始まる。

主人公のキャスター、ラジオ番組のディレクター、キャスターの上司、テロ対策チームのリーダー、警察長官…。
彼らが、それぞれの立場と事情を携えて次々と登場する。
その都度、「まぁ、このくらいの反則はありうる。人間だもの」と思わせながら、突然「そこまでする!?」「この状況で!?」と大きく一線を超えるシーンが重ねられる。
それでも観客は、「そんなはずないわ」「その判断、ありえない」と一蹴できないのだ。

劇中で描かれる「映画的極端なシチュエーション」はフィクションでありながら、私たちの蓋をした記憶をこじ開ける。
「まぁ、これくらい」と破ったルール、
納得しないまま飲み込んだ組織の判断、
必要だと言い聞かせながらついた嘘…。

いつしか観客は、主人公が迫られるギリギリの選択に自ら対峙している。
視聴率、人命、政治、謝罪…。
日和りそうになりながら、指一本で支え続ける「自分との闘争」。

彼は勝てるのか? 勝てたのか? そもそも勝敗に意味はあるのか?
この社会のなかで闘争に意味はあるのか?
私は、日々、闘えているのか?

いくつもの疑問は、観た後に生まれる。
ラストシーンの時点では、頭は真っ白。

傑作!!

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員

『テロ,ライブ』のカラーレビュー

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