渇き。

2014年06月27日公開
渇き。のポスター
6.8

どんな映画

中島監督が、同じ小松菜奈で同じ“加奈子的キャラ”をより快活に描き切ったdocomo dビデオの傑作CMを撮ってしまった以上、この映画は今後どんなに再評価されようとも二番にしかなれないのだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
フリークレビュー
10

満たされる

中島監督はずば抜けてキャスティングが良い。
新人には新鮮な輝きをベテランには新しい魅力を必ず吹き込む。
(ちなみに役者に厳しいとよく言われているそうですが、
過去の作品を並べてみると、そりゃ松子が一番厳しくなるだろ、と思う訳です)

今年の新人賞は決まり。橋本愛は既にマンネリズムが。
階堂ふみはこっちの方が良い。
それ以上に新鮮なキャストが沢山いて、大満足。

マンネリズムとは無縁の巨匠

久々にこんなに重い公式サイト見た。

完山 京洪
完山 京洪のプロフィール画像
映画人
7

潔い、露悪。

このレビューにはネタバレが含まれています。

なぜ加奈子(小松菜奈)がバケモノになったのかが判らん…というような評価があるが、そもそも「判らん相手」だからああなったわけだ。「正視できなかったから判らんままだった」んじゃないか。娘の蠱惑さは父親の底の欲望と合わせ鏡なのだ。だから正視したからって判るどころか余計惑わされる。つまり「判らん」で正解。

それにしてもそんなに少年のケツが好きなのかお前ら。理解できん。なんなら藤島(役所広司)に片っ端からぶっ殺させても良かったほど醜い。加奈子の咲きっぷりを支える土壌としての老醜が際立つ。しかし藤島の増幅する怒りはやり場無く、観る側を笑うしかない距離感に突き放す。警察と闇社会が結託し、無垢な少年少女が蹂躙されて、家族は崩壊するままになる。なんて上等な先進国。

「現代の病理を描く」なんて高尚さなどドブに捨てている。闇パーティのノイジーな音楽とクリップのスピード的快感、少女たちの明日無くハッチャける笑顔、フリルで目隠しなんて倒錯×寵愛のワンカット、グロリアを敵の車にぶち当てる衝突感、カットを積んでいたカメラがドリーで追い出した瞬間に横溢する追撃モード、全てが生理的な快感に結びつく。

狂気系の映画なら藤島とボク(清水尋也)の世界軸が混ざって現実と幻想の境が曖昧になるもんなのだが、そこも逃げない。加奈子が埋まる積雪はドラッグと死の暗喩か。本作はその過剰さと可憐さで「絶望と愛を描くメディアは映画なのだ」と宣言している。

それにしても中島監督は少女の撮り方や引き出し方が上手い。小松菜奈の透明感は出始めた頃の水原希子を思い出させる。橋本愛の折れそうな生硬さ、森川葵の儚さ、二階堂ふみの拙い温かさまで。一方大人の女たちを美しく撮ることは潔く捨てているように思う。少女ならではの独特な性的喚起力を、背徳に踏み込んで表現する確信犯が、観る側を揺さぶる。

で、揺さぶられたことは潔く認める。ちくしょう。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
7

見ていて疲れた

このレビューにはネタバレが含まれています。

 登場人物が嫌な人しか出てこない上に、カットが細かくて疲れるし、時系列がごちゃごちゃして把握するのが大変で、見ていて頭が痛くなってしまった。

 時折血しぶきがアニメになっているのと、リアルに刺さっていたりするのが混在するのがなんだかもったいなかった。そこは丹念に描いた方が怖くてよかったのではないだろうか。

 役者さんは皆さん、すごく上手だった。役所広司が乗るグロリアの古いのがすごくかっこよかった。ぶつけてガチャガチャになるのがもったいなかった。

 妻夫木聡がクールにチュッパチャップスをなめるイライラするキャラで出ていたのだが、特に成果をあげる場面はまったくなく、大丈夫なのかと思ったら派手に撥ねられていて面白かった。

 不良のパーティでて享楽的で退廃的な場面としてでんぱ組.incの音楽が使われているのだが、でんぱ組.incはどちらかというと涙ぐましい活動を続ける地下アイドルで、不良が好きなのは安室ちゃんとかエグザイルみたいなのではないだろうか。使ってもらえるのは、でんぱ組.incにとってはありがたいことだ。

 『告白』の時も感じたけど、中島監督はいじめをなんとも思ってなさそう。いじめられっこに同情的な気持ちは欠片もないのではないだろうか。少なくとも、いじめを本気で嫌がっている人の表現とは思えない。本当のところどうなのだろう。

 しかし、今もこのご時世で、暴力映画を大作映画のキャスティングと予算でフルスイングで作るのは大したものだ。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家

『渇き。』のカラーレビュー

  • 10
  • 8
  • 8
  • 7
  • 7
  • 7
  • 7
  • 7
  • 7
  • 6
  • 6
  • 4
  • 4
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  

みんなのメモ

田中 啓一

中島監督が、同じ小松菜奈で同じ“加奈子的キャラ”をより快活に描き切ったdocomo dビデオの傑作CMを撮ってしまった以上、この映画は今後どんなに再評価されようとも二番にしかなれないのだ。