サケボム

2014年05月24日公開
サケボムのポスター
6.7

どんな映画

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フリークレビュー
7

混ざって万歳。

このレビューにはネタバレが含まれています。

全てが痛いほどの「身の丈」で進んでいく。蔵元で日本酒を作る青年ナオト(濱田岳)のアメリカ珍道中となれば、アメリカ人に日本酒オススメしてほろ酔いで相互理解、なんて優しい系の物語かと思うと裏切られる。

曲者はセバスチャン(ユージン・キム)。彼が抱くルサンチマンは、実は日本の意識高い系の若者たちに深い部分で通底する。様々な人種が混淆するアメリカにいても、ほとんど単一の民族の中にうっすらとしかし厳然とした線引きの向こう側に他民族がいる日本でも、同じ「別だ」という意識。

セバスチャンが実生活でつまづく描写も手早く抜かりない。無職で彼女に食わせてもらうWEB中毒のスケベ野郎。結局彼はWEB上に溢れる様々な意識に引っ張られて自意識過剰、ただイタいだけの男になっている。一方でナオトが普段携帯やPCに触れず酒造りに集中していた設定も効いている。日本人ならではの「鷹揚さ」が濱田岳の風貌で説得力を増しているのだ。

彼らの旅路を助けるイケメンのゲイやナオトといい感じになるコスプレ娘もいい味出している。異国で出会って助けられた経験、個々の多様性に出会って戸惑った経験を謙虚に消化できてないとこういう描写はできない。またこの製作規模だからこそできることでもある。手を上に伸ばせないなら横に伸ばしてみた挑戦だと感じる。

「身の丈」とは結局シモ。それは飲みたい酔いたいと直結している。そこを直視して、粘り強くこだわり、ここまで優しく上品に作った手腕は、さりげないけど稀有だ。SXSWで評価されたのもそこかもしれない。

酒を満たしたお猪口がジョッキのビールに落ちていく。このカットが象徴的。落ちるナオトがアメリカに混ざる。でもアメリカだって味を変えられてしまう。その先にはいい気分の酔っ払い。

ナオトやセバスチャンへの据え膳が勿体ない。さっさと食えばいいと思うのは、おれの年齢のせいだけではあるまい。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター

『サケボム』のカラーレビュー

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