万能鑑定士Q モナ・リザの瞳

2014年05月31日公開
万能鑑定士Q モナ・リザの瞳のポスター
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どんな映画

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フリークレビュー
6

知的冒険が始まった。

このレビューにはネタバレが含まれています。

莉子(綾瀬はるか)が一晩でフランス語を習得していく様が面白い。「記憶する対象と感情を同調させる」技術をそのままやらせてハマる女優はなかなかいない。文献に顔を埋めてクンクン匂いをかぎ、ケタケタ笑いグズグズ泣いて一人で盛り上がる。振り切る佐藤演出が綾瀬の波動を汲み上げて、感覚ある莉子を見事に肉体化した。

個人的に眼福なのは美沙(初音映莉子)。「ノルウェイの森」「終戦のエンペラー」で挑戦を続けている。芸術の源泉である「人生のアンフェアさ」を体現している美沙なので、たとえばラストの涙は、もっと凶々しい表情でも良かった。スレンダーで怜悧な容姿。様々な役柄の初音を観たい。

小笠原(松坂桃李)も負けてはいない。トリックに気づくまでの「間」が効いている。疲れた表情から「気づく」表情の間の、無心の「間」。演出と資質がかみ合った瞬間。このカットをものにして、小笠原は本作の中に肉体を得た。

一方、敵側の理屈がいま一つ浅いと思う。莉子の能力を鈍らせるトリックを弄するなら、最初から鈍い鑑定士を採用しておけばいい。モナ・リザの額に仕込んだ美沙の仕掛けは、美沙が自らの意思で仕込んだものを敵が利用したのか、そもそも敵が美沙に仕込ませたのか。敵が誰とどこまでグルなのかが、もう一つ曖昧なままなのだ。おれが読みきれていないのか?

そして、真実のモナ・リザをルーブルに返すでも身代金でもなく、世界で唯一の秘密の場所に隠匿することを敵のゴールにしても良かった。そうなれば「狂った偏愛」に立ち向かう莉子の純粋さが際立ったのではないか。

西洋美術・骨董は、現代にも隠然と息づく貴族社会を仄めかしていて好奇心を刺激する。その陰影に、未だルネサンスを迎えていない日本人たちが知力を尽くして立ち向かう。知的冒険は始まったばかりだ。次作があるなら、メジャー邦画ならではのマイルドさを捨てて、とことん尖がって戦ってほしい。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター

『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』のカラーレビュー

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