パンドラの約束

2014年04月19日公開
パンドラの約束のポスター
7

どんな映画

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フリークレビュー
7

個人的見解。

このレビューにはネタバレが含まれています。

ドキュメンタリー映画の作り方を、欧米の作り手は良く心得ている。新たな世界への冒険心と知的好奇心を刺激する、エンタメな作り方だ。泣かせよう考え込ませようとせず、登場する人間の真摯な取り組みに、まさに観る側を載せるようなドライヴ感を組み込んでいる。「フード・インク」「ベンダ・ビリリ」「未来の食卓」そして「ザ・コーヴ」「100,000年の安全」も例外ではない。本作「パンドラの約束」も然りだ。

世の潮流「反原発」に抗い「温暖化による気候変動の抑制」の視点から原発利用に舵を切った科学者や活動家たちの意見や経験を綴る。出演する皆が最初から原発推進だったわけではなく、むしろ環境保護の立場から離れずに反原発から原発推進に舵を切るのに注目。自然との調和や個人へのテクノロジーの開放を目指す「The Whole Earth Catalog」を編纂したスチュアート・ブランドが、反原発から原発推進に舵を切った過程を、本作の中で本人が語る。ここに本作の説得力がある。

裏で金をもらっている云々の陰謀論は「反」「推進」両方にあるし、双方の主張は対岸に立てば単なるポジショントークだ。全電源停止という過酷実験を経て自動停止に成功した第4世代原子炉が、政争のためだけに米共和党に反する政策を掲げていた米民主党が政権についた途端、実用化への研究予算を凍結される様が描かれる。「政治が蒙昧を呼ぶ」ことを、この映画は喝破している。

原発推進に舵を切った環境研究者のマーク・ライナースは「僕は口を閉ざしていたほうが良いのかと思うときがある」と独白する。恐れるべきは放射能でなく、彼にも我々にも同様にかかる「同調圧力」だ。独自の生命感を捨てずに学び、聞き、語りあうことだけでも大仕事なのだ。一方、用済みの核弾頭が発電に転用されて数十億の貧困層を照らし暖める未来描写は悪くない。この瞬間、膨大な電力が生命をつないでいるのだ。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター

『パンドラの約束』のカラーレビュー

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