ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

2014年02月28日公開
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のポスター
8.1

どんな映画

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フリークレビュー
8

モノクロームの彩度

〈GOOD YEAR〉と書かれた広告用飛行船に乗りこみ、急き立てられるように8万人を巻き込む爆弾テロに向かうのは、ベトナム戦争による社会落伍者ブルース・ダーン。周りの理解なんて要らん。知るか。オレにはこれしか生き方が見つからなかったんだ!

あ違った『ブラック・サンデー』じゃなかったね。
もとい。

〈GOOD YEAR〉の看板を背に、100万ドルの懸賞を受け取るため、急き立てられるようにハイウェイをひた歩くのは、朝鮮戦争による社会落伍者ブルース・ダーン。周りの理解なんて要らん。知るか。オレにはこれしか生き方が見つからなかったんだ!

空手形に一縷の望みを託した死にぞこない。
ペイン監督はこの役にブルース・ダーンしか考えられなかった。そりゃそうだ、こんなのブルース・ダーンにしか出来ない。

すっかり色味の退色したモノクロ人生だけど、まかり間違えばこんなオレにも何か残せるかもしれない。結果じゃない。そこに向かうこと、向かっている時間そのものに、あともう一歩だけ生きつづけていく価値がある。

ほら、なんか貰えたじゃないか。〈PRIZE ★ WINNER〉と安っぽく書かれた残念賞のキャップを被り、意気揚々と徐行運転で故郷に凱旋する父。助手席から子供のように見上げる息子の視線が嬉しい。この身の丈の達成感がたまらない。
だいたい100万ドルなんてピンと来ないし。せいぜい中古のピックアップトラックと空気圧縮機を新調すること、あとはそうね、人に20ドル貸しつけるくらいがこの爺さんにとってありったけの使い道だ。

思うに、「モノクロの彩度」がこの男の「身の丈の幅」なんじゃないだろうか。モノクロだって白と黒だけじゃない。黒澤明も言ってたでしょ、灰色にしか見えないグラデーションの間には、赤もあれば緑もある。目を凝らせば色は見えてくる。目を凝らさなきゃ見えないですけどね。

田中 啓一
田中 啓一のプロフィール画像
娘と添い寝
8

よかった

このレビューにはネタバレが含まれています。

 すごくリアルなアメリカが描かれていただんじゃないだろうか。美男美女が皆無で、主人公も普通だし、他の登場人物は老人と中年ばかりだった。

 モノクロ映像がそのうち物語の展開に従ってカラーになると思っていたら最後までモノクロのまま。

 お母さんがお墓で毒舌をかまして、スカートをまくる場面が最高だったけど、もし自分の結婚相手だったら嫌だな~と思った。

 結末で、おじいちゃんが高額当選者みたいな様子で街を車で横切って行くのが痛快だった。

 最近つくづく思うのだが、50手前にもなると、もはや成長も学習も向上もなくなり、どんどん諦めと惰性ばかりになるばかりになってきている気がする。子供が入れば見本になるような生き方をしたいと思うかもしれないのだが、そうじゃないので本当にどうでもいい。もう我慢なんかしていられるか、という気分で、この映画でおじいちゃんがリンカーンに行きたいって言うんなら行かせてあげればいいし、車の運転もさせてあげればいいと思った。

古泉 智浩
古泉 智浩のプロフィール画像
マンガ家

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のカラーレビュー

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