ビフォア・ミッドナイト

2014年01月18日公開
ビフォア・ミッドナイトのポスター
7.8

どんな映画

ラストはなぜセリーヌが「シフト」した演出や演技がないのだろう。例えばロブ・ライナーの『ストーリー・オブ・ラブ』のラストには、こじれた倦怠が氷解して許しあうという奇跡みたいな一瞬があったんですが。脚本に頼りすぎたか?

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フリークレビュー
10

世界で一番興味が湧くカップル

去年、飛行機で一度観ていたんだけど、
やっぱり初日に再見して大正解。
感動が何倍も違う。

待ってました! と心で叫ぶ。
9年ですよ! 一作目からは奇跡の18年!

ほぼ二人の会話劇。なのに全く飽きない。それが三本も!
監督&女優&男優の最高に仕合せなコラボ。
真似したいんですよ。そう思う映画人は山ほどいると思う。
でも、ここまで洗練されて知的でアドリブの無い脚本や、
それを完璧にこなす二人と丁寧に掬い演出する監督の
この組み合わせは本当観ていて惚れ惚れします。

観ていてニヤニヤ笑いが止まらない。
こんな女しか居ないだろ、とか、男ってやっぱこうだよな、とか
キャラクターを説明しないのに会話だけで成立する人間関係。
最近「ビフォア・サンライズ」を観直したんですよ。
これが今見ても本当に素晴らしい。

世界中から続編の期待されるラブストーリーなんて中々ありません。
次も9年後、期待してます。
それまで生き延びたい。

完山 京洪
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映画人
8

愛は、完成しない。

このレビューにはネタバレが含まれています。

第1作から18年、第2作から9年。数えたらおれジェシー(イーサン・ホーク)と同じ歳なのな。「~サンセット」の頃のジェシーほども成功してないおれ。未だ夢やら野望やらをこじらせている。

そしてジェシーとセリーヌ(ジュリー・デルピー)のこじらせ感もなかなかのものだ。一方でほぼ全ての時間を二人きりで過ごしていた前2作と大きく違うのは、友人関係、子供たち、仕事、生活。二人きりで見つめ合うだけではもう済まない。

しかし、友人たちと囲む食卓での会話や子供たちにかける言葉で、彼らの過ごしてきた時間はダテでないことも良くわかる。皺や肉付きが増えた分、経験や知恵、ウィットがより豊かになっている。

ジェシーとセリーヌの人生を説明臭くなく台詞に織り込む中には、監督とホークとデルピーの人生の曲折が反映されているはずだ。同じ歳まで生きてきて二人の言い合いを聞いていると、理屈抜きで痛みが伝わるのだ。真摯に人生を顧みてホンに反映するには、自らの醜さを受け止める強さと冷静さが要る。

今までは愛を描いていた。今回は人生を描いている。どんな物語でも、実在の作家が描いている。架空の物語は共感を得られねば稼げない。そう考えると、この映画に満ちているのは作り手の「誠意」だと判る。

ラスト、セリーヌの切り返しに膝を打つ。気持ちよくハマる振りと受けで締めるが、物語は終わらない。「愛は完成しない」のだ。一旦始まった愛は終わらない。形を変えながら愛はただ淡々と続く。老婦人が食卓で話した言葉が、二人の、そして自分の人生に透けて重なってくる。

まあ、歳を食うのも悪くない。
今一度、懸命に考えて、懸命に愛してみようか。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
7

「この人だと思える理由」

第1作でメロメロになった自分としては、本作はなんだかセリーヌとジェシーが普通のカップルに見えて、序盤はどうにも気持ちがのらなかった。
けれど、チクチクとジェシーを試し責める彼女はクレバーで魅力的な紛れもないセリーヌだったし、それを交わす彼は、夢見がちだけど欲しいものを間違わない「ジェシー」に間違いなかった。
同じ方向を向いて座り、沈みゆく太陽を見つめる目の前の2人。
彼らに「あの2日間」を重ねながら、18年のストーリーを紡ぎ始める自分。

そして、ちぐはぐと噛み合わない2人のやりとりの末、お互いに「この人だと思える理由」が見えてくる。

この2人もう終りかも…と思い始めた瞬間、ジェシーの言葉が大きくオブジェクションを掲げる。

「ぼくは、18年前に君と恋に落ちた男なんだよ」という彼の言葉が、
今ここで言い争っているのは、「ぼくらなんだよ」と聞こえる。

もしかしたら、言葉を交わすこともなかったかもしれないぼくら。
もしかしたら、再会などしなかったかもしれないぼくら。
けれど、その両方を選べたぼくらなんだよ、と。

現実にまみれても、続く愛を信じさせてくれるリンクレーターのまなざしに完敗にして乾杯。

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員

『ビフォア・ミッドナイト』のカラーレビュー

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みんなのメモ

田中 啓一

夕暮れ前の友人とのランチは、レイチェルの結婚の「皿洗い合戦」と並んで、シリーズを総括する素晴らしいシークエンス。

田中 啓一

ラストはなぜセリーヌが「シフト」した演出や演技がないのだろう。例えばロブ・ライナーの『ストーリー・オブ・ラブ』のラストには、こじれた倦怠が氷解して許しあうという奇跡みたいな一瞬があったんですが。脚本に頼りすぎたか?