鑑定士と顔のない依頼人

2013年12月13日公開
鑑定士と顔のない依頼人のポスター
7.2

どんな映画

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フリークレビュー
8

絶対に観た人以外読まないでください

このレビューにはネタバレが含まれています。

ここまで知的に童貞映画を撮れる人はあなただけです巨匠!


まさかまさかの厨二病映画。笑


観終わった後、凄まじく人に話したくなりますが我慢しましょう。

完山 京洪
完山 京洪のプロフィール画像
映画人
8

秘密の多い者が勝つ。

このレビューにはネタバレが含まれています。

美術骨董の世界は、とくにヨーロッパの貴族社会を現代にも継続していて興味が尽きない。美術そのものを追うと膨大過ぎて訳が分からなくなるが、歴史・社会・人間の役割などに焦点を置くと日本との比較が明瞭で俄然面白くなる。可能であれば、ドキュメンタリー映画「イヴ・サンローラン」を観られるといい。ヨーロッパの貴族文化に通底する感覚を少しでも共有できる。

「題名のない子守唄」をトルナトーレが撮ったときは驚いた。イタリアの純朴な人々を描いてきた彼に「この歴史を経てまで、なぜ人間の欲望は昇華されないのか」を問いとしたのかもしれない。前作では秘密を負った女の視点から東欧の暗部を描き、今作では秘密を追う男の視点から骨董界に蠢く欲望を描く。課題を全面に立てず、人間模様から浮き彫りにしていくストーリーテリングは多層的で、発見と知的興奮に満ちている。

ヴァージルがクレア(シルヴィア・ホークス)にドレスを試着させる。何人ものモデルに着させて歩かせて、業界で鍛え上げた審美眼で選んだドレスを、がらんどうになった屋敷の部屋で憧れの女に着させるのだ。ロクに恋愛もしてこなかった壮年の男が果たす、憧れの女への贅を尽くした夢。これは痛すぎるだろ。

ヴァージルとクレアの語らいに被るモリコーネの音楽。「マレーナ」で描かれた「女性」への切ない憧れに重なる。顔を見せずに男を惹きつける高等戦術。秘密は憧れと表裏で、上手く使えば餌になる。これは恋だけでなく仕事にも重なる。おれみたいに開けっぴろげな人間は、餌を撒かれていいように利用される。劇場を出てからそれに気づいて二度目の衝撃。「知性」は「戦略」に直結する。この映画に横溢する「知性」が心の底から欲しくなる。

映画の宣伝は結末への興味を掻き立てる。もちろんそれもいい。けれど脚本、ロケ、セット、撮影、音楽、演技、全てを受け止めるからこそ結末の衝撃が際立つ。本当に頭のいい映画。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
7

なんと声をかけていいのやら…。

人生、あまりに慎重に生き過ぎると、えらい目に遭うのだな。
適度に騙されて、適度に嘘に慣れて、適度に傷ついて…。
その繰り返しのなかで、ときどき幸福感を掴んでいけるラッキーを噛みしめたくなった。

「それって、この映画の感想?」と疑われそうですが、正直なところ。

「ソーシャル・ネットワーク」を思い出させるラスト。
鑑定士を演じきったジェフリー・ラッシュの姿に、観客は戸惑う。
「なんと声をかけていいのやら…」。

どこかで小さく聞こえもする。
「人ごとじゃない…」。

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員

『鑑定士と顔のない依頼人』のカラーレビュー

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