藁の楯 わらのたて

2013年04月26日公開
藁の楯 わらのたてのポスター
5.7

どんな映画

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フリークレビュー
8

骨太のサスペンス

このレビューにはネタバレが含まれています。

 イオンの試写会で当たって見てきた。

 骨太のサスペンスアクション映画で、すごく面白かった。登場人物がとても人間味あふれる描かれ方をしていた。松嶋菜々子なんていい女感がまるでなく、本当におばさん臭さを強調して描かれていて、人間臭さがあふれていた。大沢たかおは昔は蛇のような目のイケメンだと思っていたのだが、ちょっとふっくらして人生の苦渋があふれるような存在感となっていた。

 すごくよかっただけに残念な部分を指摘したくなって、日本人で安易に発狂する人はそんなにいないような気がするし、短時間で準備もできないと思う。警察の規範意識ももっと高いように思った。新幹線で現場検証するなら先頭車両を外して、それに乗って東京に直行すればいいように思ったし、大沢たかおが時間厳守にこだわるのもちょっと違うような気がした。クライマックスの警視庁の前に群衆が詰めかけるのもないかなとか、あそこで藤原竜也寝すぎ、山崎努が斬りつけるのも無理があるかなと思った。藤原竜也が気持ち悪い変態の役で、悪者っぽくなろうと頑張っていたのだが、オレはハロヲタ時代に本物のキモヲタのロリコンを見ているので、やっぱり物足りない感じはした。

 山崎努が車から降りて歩み寄る場面の向かい風がすごかった。神戸駅で女の子を人質に取るおじさんの荒みっぷりがすごかった。岸谷五朗にはもっと暴れて欲しかった。

古泉 智浩
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マンガ家
3

映画自体が「藁の盾」。

このレビューにはネタバレが含まれています。

リアルを装っているがユルい。

まずSP描写。清丸に度々銃を向ける白岩(松嶋菜々子)は単なるツンデレで、2回も目を離して2回目で撃たれる。しかも冒頭で銘苅(大沢たかお)が着ていた防弾ベストを着ていない。アホに見える。制作側のユルい造形が松嶋渾身の演技をドブに捨てている。
清丸護送の拘束が甘い。金賢姫は舌噛みを防ぎ口を利かせないためマウスピースを噛まされ顎を固定されていた。一方徹底した拘束をハンニバル・レクターは破った。この映画でもそれくらいの流れは作れるはずだ。
警察組織に蜷川の金が事前に浸透している描写があるが、それなら賞金広告など出さずに裏の手で警察に殺させればいい。わざわざ清丸に賞金をかけて社会に露悪させる「蜷川こそ巨悪」の描き方が曖昧なままなのだ。

「IF」の考察も足りない。

○「清丸サイト」だけでなく、TwitterなどのSNSももっと動く。○清丸殺害OKの「復讐派」の一方で、清丸の人権を謳う「エセ人権派」も出る。○蜷川に対抗するように、IT長者が清丸の生死を賭けてネット上に賭場を開く。○復讐派と人権派で追跡と争奪戦。生かす側にも「清丸を使って社会を見返す」という歪んだ野望がある。○しかし「普通の人たち」こんな様を子供たちに見せたくないと思う大人や若者たちが、銘苅に手を貸し、清丸を隠し、リレーで護送を進める。○復讐派は実力で襲いかかる。人権派はSNSを使って警察や銘苅・白岩の醜聞を広げる。手を貸す「普通の人たち」も襲われて死んでいく。○途中まで清丸を殺す衝動に逡巡していた銘苅が「普通の人たち」の死に直面して、心の舵を切り直す。

ここまでやればもっと燃えられたと思うんだけど。

劇中で衝突する欲得と倫理観の双方が軽い。清丸と蜷川を見つめる人々の「侮蔑」「偽善」「無関心」を浮き彫りにし「あなたならどうする?」と観客に突き付けないと、銘苅の苦闘も際立たない。

Daisuke O-oka
Daisuke O-okaのプロフィール画像
VTRディレクター
4

雑。

冒頭、「殺人の追憶」を思わせるようなショット。
犯人の清丸を殺せば10億円という告知に、誰も信じられなくなる異常な状況。
警察が? 機動隊が? 看護師のおばさん、お前もか!?
高速で逆走するタンカーに向かって銃口を向けるバックショット、その直後の炎上。

これは、面白くなる!!と期待が膨らむ。
永山絢斗が息絶えるシーンの「俺が死んじまったら、かあちゃんがひとりになっちまう」くだりでは、目頭が熱くなる。

ところが、ここから加速していくぞというタイミングで、逆に失速…というよりも、疑問(つっこみ)という名のブレーキが何度となくかかるのだ。
新幹線という動く密室のスリルもなく、エリートSPのはずの大沢たかおと松嶋奈々子はスキがありすぎ。
最初の驚きの山場でありえた岸谷五朗の熱弁には、彼が魂を売り渡したバックグラウンドが描かれてない。
「清丸は、命をかけて守る価値があるのか?」は、確かにテーマではあるが、何度もセリフにされると、さらに話の浅さから逃れられなくなってしまう。
藤原竜也演じる清丸が、終盤「かあちゃんに金を残してくれ」とSP2人に懇願するが、「かあちゃんネタは、もう使ったよね…」と、爆発力に欠ける。
登場人物の描き方や話の流し方が、雑なのだ。

それでも、さまざまな強引さの末たどりついた、「大沢たかおVS藤原竜也の対峙」は見応えがあった。
自分を押し殺してギリギリのところでキープしていたストッパーが決壊する1mm手前の緊迫感!

いっそ、ここから一気にラストの後ろ姿まで飛ばすくらいの編集にしてほしかった。

山崎努演じる10億円を賭けた財閥・蜷川と大沢たかおとの「道徳的なやりとり」は蛇足。
観客自身に答えを絞り出させる隙間を残してほしい。

役者たちの演技が達者だっただけに残念。
松嶋奈々子の目の下のクマなんて、「ロシアハウス」のミシェル・ファイファーに匹敵するよー。

茅野 布美恵
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会社員
5

今、カンヌが最も期待している日本の監督か。

このレビューにはネタバレが含まれています。

カンヌ国際映画祭コンペティション部門作品を
オンタイムで観れる機会はそうそうありません。
(他の外国映画なら1年後は普通)
今、なぜカンヌが三池監督を求めているのかが知りたく、
観てきました。

批評家の酷評とニュースで流れてましたが、
そもそもカンヌの毛色とまったく合わないのでそこは理解するとして、
やはり、是枝・青山・黒沢監督らとは違うタイプの邦画を
今カンヌが探していることは間違いなさそうです。

日本語のリズムを何とかしないと。

その点を抜きにして脚本や作品の感想を。
三池監督らしい作品だなぁというのが正直なところ。
新幹線までのスピードは面白かったなぁ。
B級テイストがそのまま予算膨らんだ感じでしょうか。
その分、今回はその演技力が複数キツく映る。
松嶋さんは何で出たのか?って疑いたいくらい間抜けなSPです。
東幹久に良く似た若い刑事も酷い。笑い担当だった。
山崎努さんの遺作が今作にならないよう祈。

日本という国がもう少し撮影に協力的だったら、って思わずにいれない作品。

完山 京洪
完山 京洪のプロフィール画像
映画人

『藁の楯 わらのたて』のカラーレビュー

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