るろうに剣心

2012年08月25日公開
るろうに剣心のポスター
6

どんな映画

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フリークレビュー
5

アラサー向け歴史教科書の毒抜き

アラサー前後の人間にとって和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は特別な作品だろう。「幕末」「明治」という時代を、司馬遼太郎の著作以前にこの作品で初めて認識した方も多いはずだ。アニメ化もされたそんな人気漫画が満を持しての実写映画化。不安も抱えながらも、かつて心を熱くした作品がどのように視覚化されているのか期待に胸を膨らませて劇場に足を運んだのだが、結論から言えば失望させられた。
アクション、殺陣は見応えあるハイクォリティ(クライマックスの『双龍閃』のあっけない描写だけは納得いかないが…)。くだけた現代語による台詞には違和感があるが、「今」の観客に向けた作品であるのだから許容範囲内だ。そもそも原作からして、アニメ・アメコミ・ゲームといったサブカルチャーの要素を作品に取り込んでいたカジュアルな作風である。しかし原作連載当時、最も私の心を捉えて離さなかったエッセンスがこの映画には欠けている。それは和月伸宏若気の至りによる「こじらせ」だ。
原作は若い作者自身の「正義」に対する葛藤が作品に反映されていた。重すぎる罪を背負い、その贖罪を求め苦悩する主人公…世界の矛盾をしょい込もうとする童貞マインドとも呼ぶべき青臭い自意識が、果ては毒気すら放ち鮮烈だった。
この作品にも主人公の葛藤はある。しかし原作のような切実さは無い。オトナが原作を解体し再構築した本作からは、原作のあの毒気が抜かれているのだ。脚本には和月氏の夫人が協力している事から、オトナになった現在の原作者自身のメンタリティも反映されているのかもしれない。
聞けば監督の大友啓史は『龍馬伝』では佐藤健に本作とは比較にならない苛烈な運命を与えていたという。さらに「こじらせ」を増し剣心に試練を与えていく原作のストックを今後映画化する事があるのならば、日和る事無くその善悪の葛藤と贖罪の物語を描き切っていただきたい。

岸岡 卓志
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るろうに
5

悪かないけど、心が乱れない。

話の展開に違和感もなく、「つじつまが合わないじゃん!」とひっかかるところもなく、安心して観られた。
…そう、安心して観てしまったのだ、この作品を。
これは、問題ですよね。
もっと、心を乱してくれなくては!

観た人の多くが評価する殺陣のアクションは、確かに見応えがある。ただ、スポーツとしてのそれなのだ。
映画の中の殺陣は、スポーツではなく感情や会話の一部であってほしい。
せめて、最後の鵜堂刃衛との一騎打ちだけでも、もっと泥臭く描いてほしかった。
ここで、剣心は「殺すつもり」で向かっていくのだから。

さらに、剣心が若い命を奪うことに迷いを感じた後も、「それでも」何千人も殺し続けた理由と葛藤と悲しみが見えにくい。
左之助が剣心に惹かれていく過程を剣を交えながら描く方法はおもしろいけど、これもまた「なぜ」の部分が弱い。
原作を読んでいない私はこのあたりを補完できないため、日常の風景かのように安心して観てしまった。
この部分がじわりと体に入ってきていたら、最後の闘いの時に剣心が絞り出す「あぁぁぁぁぁぁ」という叫びも、ズシンと下っ腹に響いたことだろう。

細かいところだと、剣心が敷居を平気で踏んづけてるのも、見てるこっちが戸惑った。

最後の最後に見せる剣心の笑顔も、ちょっと物足りない。
安堵は伝わるものの、大人の男の闘いをひとつ乗り越えた芯の強さを、もう数パーセント!

なんだかんだとリクエストを並べましたが、吉川晃司の佇まいは、素晴らしかったー。

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員
6

実戦のスタイルを築きつつある日本映画の「殺陣」。まだ「闇」が足りない。

このレビューにはネタバレが含まれています。

とにかく殺陣。一対一、一対多数、剣対剣、剣対徒手+剣…カンフーや旧式時代劇の様式美に嵌ることなく、ひたすら「倒す」ための重くて速い「実戦感」。冒頭の鳥羽伏見の戦いで顔も見せずに佐幕軍を倒しまくって突き進む「抜刀斎/剣心=佐藤健」の鬼気。

左之助vs戌亥番神=須藤元気!の殴り合いはいっそ爽快。須藤元気がちょっと勿体無いか。演技力が付いてくれば今後に期待。
そして剣心に立ちはだかる外印=綾野剛には拍手。彼の殺陣は「GANTZ PERFECT ANSWER」で実証済み。「ヘルタースケルター」のダメ男くんもいいが、こういう役でどんどん動いてくれ!
鵜堂刃衛=吉川晃司にも驚いた。あれ程動けるとは。悪のオーラもなかなかのモノ。

せっかくなので左之助の「斬馬刀」で橋の一本でも真っ二つにして欲しかったかな。薫も高名(?)な道場の師範代なので、木刀で真剣の相手をボコボコにしてしまうくらいは欲しかった。

ドラマ面では「活人剣」のくだりが説教くさい。すでに剣心の「人は斬らない」という決意と「守るためには斬らねばならない」という葛藤が通っているので、活人剣の理念が宙に浮いている。こういうことは長々と語らずに画で見せて欲しい。
そこで浮いた尺を、恵=蒼井優の過去や外印との因縁、観柳=香川照之が何故あんな奇矯な豪商になったかなどの来歴を描く分(ほんの数カットでいいから)に充てれば、各々の勝負によりスパイスが効いたはずだ。

原作(未読です)や尺の制約もあったのか、結果的には「健やかな青年エンタテインメント」。それでも怒涛の殺陣のおかげで観後感はかなり爽快。続編があるのなら、物語の中にさらに「悪」や「闇」を込めて欲しい。なぜ剣心が鳥羽伏見の戦いまで人斬りを続けたのか。薫の言うとおり剣心の人斬りで助けられた命は過去にあるのか。そんなところまで観てみたい。「ござる」萌えの女子も多いんだろうな。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター
8

緋村剣心役の佐藤健の殺陣だけで、入場料のもとは取れる!

このレビューにはネタバレが含まれています。

剣道3段のなくなった父親が、映画『子連れ狼』やドラマ『唖侍鬼一法眼』の若山富三郎の、目にも止まらぬ殺陣が好きだった。この映画の緋村剣心役の佐藤健の殺陣を観て、思わず若山富三郎の殺陣を思い出したのは言うまでもない。彼の運動神経の良さとその様式美に舌を巻いた。すげぇカッコいい、と思った。アクション監督谷垣健治の功績も大だが、あの殺陣だけで入場料のもとは取れる!

日本映画伝統のチャンバラ時代劇を大ヒットさせ、復権させた大友啓史監督に快哉を叫びたい(ぼくの出身高校の5年後輩らしいので贔屓してます)。こうした時代劇は悪党が煌びやかでなくてはならないが、吉川晃司演じる鵜堂刃衛の不敵な面構えや悪のオーラはなかなかだった(悪党の配役さえ間違えなければ、続編もありだと思う!)。佐藤健のアクションのおかげか、他の映画ではイマイチ輝ききれない武井咲までステキに見えた。以下、青木崇高、江口洋介、綾野剛、須藤元気とアクションできる配役をしたのも成功の妙か。

この映画がワーナー・ブラザースのトレードマークとともに始まるのは、実に感慨深い。思えば、『グラントリノ』のクリント・イーストウッドも殺さずの誓いを立てており、あのイーストウッドが丸腰で復讐に向かうのが、感動のツボだったからだ。この作品の「人を守るための剣」というテーマは、最近のイーストウッド映画の主題に似ている点は観逃せない。映画のクライマックスで緋村剣心が殴り込みに向かうのは、香川照之演じる実業家・武田観柳の屋敷であった。待ち受ける観柳がそのときぶっ放すのが、イーストウッド監督の『アウトロー』でも登場した機関銃・ガトリング砲であるのは言うまでもない。

サトウ ムツオ
サトウ ムツオのプロフィール画像
映画伝道師

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