パシフィック・リム

2013年08月09日公開
パシフィック・リムのポスター
8.7

どんな映画

ロボット映画史上最高傑作。文句なし

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フリークレビュー
8

僕たちの知らない友だちが200億円で映画作りましたよ。

2013年8月4日の投稿です。まずレビューではないことご容赦ください。

『パフィシック・リム』がいよいよ9日に公開されます。約200億円の巨費を投じたハリウッド超大作でありながら、日本の伝統を汲んだ怪獣映画で、アラフォー世代直撃の巨大ロボット映画。オタクの夢の様な作品、と説明すればいいでしょうか。

ただ手放しの礼賛がある一方で、「アイツは日本の特撮やアニメの心がわかってない」みたいな批判も聞こえてきます。ぶっちゃけどっちでもいいです。

われわれ(って適当に括りますが)の心のどこかに、アニメや特撮に育てられた連帯ってありませんか。僕にはあります。ちっぽけな価値観を書き換えられ、世界観が広がった瞬間を、見知らぬ誰かと共有しているあの感覚。もちろん大昔から映画や小説や音楽が与えてくれたものですが、極東の小さな島の、たぶんかなりの世代をカバーする多くの住人にとって、それはアニメや特撮だったのだと思います。

そして、メキシコ生まれのわれわれの仲間(会ったこともないですが)がハリウッドで200億円をかき集め、空前のスケールの怪獣vsロボット映画を作りました。友だちが作った自主映画、友だちが出てる芝居、友だちが組んだバンドのライブ、ガッカリしたけど感想が言いづらい思いをしたひと、数えきれないほどいるでしょう。ですが、これほどの快挙を成し遂げた友だちに「おめでとう」という気持ちを持たずにいられるでしょうか。

友だちの快挙に駆けつけて、よかったねでもダメだったねでも、好き放題に言えばいいと思っていますが、日本でこそ最も応援され、大ヒットして欲しいと願うばかりです。

個人的には、初めて3Dで観て良かったと心から感謝しました。目の前に、とてつもなくデカい怪獣がいる。ああ、いままでの怪獣映画はなぜ3Dじゃなかったのか? そんなナンセンスな疑問さえ浮かびました。どうか3Dの大画面でぜひ。

村山 章
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映画ライター
9

凛子の瞳が最終兵器。

このレビューにはネタバレが含まれています。

ロボットに怪獣。オタク二題に良くぞ予算を投下してくれたWBとレジェンダリー!共に面白がる仲間や上司がいることは何と素晴らしいことか。状況を前に細かな齟齬を横にして団結して立ち向かうのは、相手が映画作りでもKAIJUでも変わらない。

その「団結」が熱い。米中露豪日のロボットが次々参戦する、目の前で動く!殴る!戦う!エンタメの中にシンプルで力強い希望。「危機に瀕すれば人々はまとまれる」。それをロボットと怪獣という、戦後の日本カルチャーの象徴を基に描いてくれたデルトロ監督に感謝。

イェーガー自体に最強の肉体感。ジプシーが船でKAIJUを殴りに行くシーンは、男なら誰だってあの心境になったことがあるはずだ。「ぶっ殺す!」と。気持ちがイェーガーに載る瞬間だ。

残念だったのは、東京とか日本の文字扱い。ニュースのタイトルも、東京の街の看板も、おれに校正くらい任せてくれよ!

マコのトラウマたる東京壊滅は、もっと死屍累々に描いてほしかった。両親が食われるとか。そこを控えたのは被災した日本人への思いやりか。
3.11よりこっち、一部の日本人の中で原子力アレルギーが盛りだ。しかし本編では原子力が敵を叩く鍵になる。ロボットも原子力も実は日本が最先端だ。デルトロ監督から日本へ「イデオロギー闘争など相手にするな。日本人にはサバイヴする技術もセンスもある。自信に満ちて存在を押し出せ」というエールだというのは深読みか。これほど熱い「友人」がいたのだ。

そして何よりマコ、菊地凛子!ケレン味満載の大気を堂々背負って、登場俳優の誰より一番の迫力。すでにハリウッドのスケールに馴染みきっている。何より「瞳」の演技が強いのだ。固めな英語、期待に応えるコテコテジャパンな所作、全てを引き込む「瞳」。菊地凛子だからこそ出来た人物造形。
世界を射抜く菊地凛子の「瞳」。

おれたちはもっとやれる。応えようじゃないか。

Daisuke O-oka
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VTRディレクター
8

繋がれるか、絶たれるか

このレビューにはネタバレが含まれています。

デル・トロ監督はいつも隅に追いやられたマイノリティのことを考えている。砂漠に隔たれた孤児たち、この世に取り残された悪魔、現実には居場所がなく空想に逃避する少女。ただ、デル・トロは彼らを甘やかしたり、やみくもに救うわけではない。彼らに生きる場を与え、あとは成り行きを見守っている、やさしいおっさんだ。今回も仲の良さとケンカ以外に取り柄のない兄弟や、家族を失った身寄りのない少女に場を与える。イエーガー計画がなければ彼らはきっと忘れられたまま、存在さえしていない。

巨大ロボット、イエーガーは一人では操縦できないというのがいい。パートナー(Co-Pilot)となった二人は、より綿密に連携できるよう脳神経レベルで「同期」をとって繋がらなければパンチひとつ繰り出せないのだ。
「同期」とは記憶をさらって人生を共有することだ。互いのこれまでを知った上で、この先の人生を預け共に戦う。痛みを共有できた人間は強い。誰もがみな他人と共有すべき人生を背負っている。
この「同期」による共有は、近未来らしく最新のデジタルテクノロジーによって施される。でも勘違いしないで欲しい。血を分けた兄弟や父と息子の繋がりは片割れが死んでも絶たれることはないし、司令官と少女を繋ぐ師弟の絆は「同期」を介したものではない。何より、水と油の関係で諍い合っていたはずのサイエンティスト二人が脳を「同期」しようとしたのは、それ以前に通底する科学への想いを共有していたからだ。
そして、KAIJU殲滅のキモも、海底の“裂け目”とその中心との繋がりを断つこと。「繋がれるか、絶たれるか」怪獣退治と人間ドラマがその一点に収斂していく。裂け目の繋がりを断つために最後の戦いに向かうそれぞれのイエーガーを操るのが、新たな「同期」で繋がった血縁のない新しいパートナー(Co-Pilot)たちであるという希望に、俺も思わずエルボーロケットを突き上げた。

田中 啓一
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詩人だねぇ
8

最高だけどモヤモヤした

このレビューにはネタバレが含まれています。

 巨大ロボと怪獣がスケール感たっぷりで大暴れで闘いまくることを懇切ていねいな描写で描いているのは非常に最高なんだけど、気になるところがいくつかあった。

 予告で見ていたら、もしかしたらパイロットは直接乗らずに基地から遠隔操作で操縦するのかと思って、だとしたら嫌だなと思っていたらちゃんと乗り込んでいたので安心した。

 ところが、二人乗り込むってなんだよとイライラした。一人では神経に掛かる負担が大きすぎるので二人にするとかいう設定なのだが、どんな仲良しでも二人で息を合わせて車を運転できるかという話だよ。シンクロとかフィギュアスケートならともかく、操縦を二人でするなんて4倍神経が磨り減るに決まっているし、しかもその際記憶が共有されてしまうというのもとんでもない話である。

 親子で乗り込んだら、両親のセックスをまざまざと見せつけられるし、自分のみっともないオナニーを親バレしてしまう。菊池凛子がパイロットになることを、長官が猛反対していたのは、芦田愛菜ちゃん時代に養父となっていたのだが、いつしか男女の関係になってしまっていたことがバレるからみたいな話だったらコクがあってよかったのにと思った。

 ストーリー自体が割と一直線でシンプルだったため、一人のパイロットでは物語として持たないという跡付けな判断だと思うが、それを採用するならもっと踏み込んだドラマにしろよとイライラした。

 怪獣が一体何を考えて人類を襲っているのか、あんまり意図がわからなかった。別世界の人らが怪獣を使って人類を滅ぼして資源を持っていこうという設定だったようだが、人類なんか滅ぼさなくとも、無視して採掘くらいいくらでもできそうであった。それを思うとゴジラは、ただ暴れに来るだけというのが迷いがなくて素晴らしかった。

 とはいえ、面白かったのは間違いなく、2Dで見たので3D吹替えでも見に行くつもり。

古泉 智浩
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マンガ家
9

非常に洗練された超一流の作品、まさにKAIJU

このレビューにはネタバレが含まれています。

とまでタイトルをつけた理由は二つ。

一つは、最高に面白いロボット映画実写化であること。
もう一つは、脚本的に完璧なプロパガンダであることだ。

一つ目については、もう疑いようがない。
これで、もうガンダムやマクロスやエヴァの実写化をする必要が
完全に無くなったと思う。
残念ながらそれを証明したのが日本人監督ではなかったが。

菊地凛子の別格度を改めて知る。超A級映画のヒロインを演じるなんて
日本の女優ではダントツに突っ走っている。
「G.Iジョー」とか「ワイルドスピード」とは作品の格が違うのだ。
短いシーンだったが芦田愛菜も凄い。
可能ならもう一刻も早くアメリカや英国の学校へ行き、
演劇を学べば、超一流アジア人女優になれるかもしれない。

子供の頃好きだった怪獣&ロボットを見事に結晶してワクワクする作品を作った監督に敬服。僕もこれは大好きな作品です。

もう一つの点についても書いておこう。
怪獣に対して立ち上がった(ロボットに乗る)国。
そしてその国籍のパイロットたちの結果。
ペアで乗る理由、そのペアの組み合わせと性別(つまり関係)、
黒人のリーダーの末路、新リーダーの人種。人類最後の希望と武器。
『今』アメリカが求めている事の全てを洗練して織り込んでいて
あまりに見事過ぎて開いた口が塞がらなかったほど。

まだ観てはいないが、『風立ちぬ』や『スタートレック』や『マン・オブ・スティール』にもきっと共通することであろう。

映画人は純粋に映画に夢を馳せ、ただ作品作りに没頭するのだ。

完山 京洪
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映画人
10

ありがとうデルトロ

ロボットも怪獣も、わたしあんまりよくわかりません。
だけど開始5分、波をかきわけて出動するジプシーデンジャーに涙を流すわたしがいました。まさか、ロボットが動くだけで泣いちゃうなんて。

ありがとう、ありがとうデルトロ。日本の特撮を好きでいてくれてありがとう。あなたのラブレターに心が震えました。何回も読み直したくって、わたしの劇場鑑賞回数記録を塗り替えました。
説明は不要です。大人も子供も、男性も女性も、この2時間半は少年になりましょう。

あの頃見たロボットや怪獣を、こんなにも鮮やかに蘇らせてくれたのは、
なんとメキシコの友達でした。

Azumi Miyaji
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グラフィックデザイナ

『パシフィック・リム』のカラーレビュー

みんなのメモ

Koshun Az

印象的なテーマ曲はラミン・ジャヴァディによるもの。あまりにかっこいいサウンドなので鬼リピード必須。

Koshun Az

ロボット映画史上最高傑作。文句なし